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温泉郷の誕生から今、そしてこの先10年 鳥羽市温泉振興会発足10周年記念座談会(2)

「入湯税還元モデル」世古(晃)さん 「温泉の有無で差別化」世古(素)さん

―それだけ小規模な旅館が多いということですね。

世古(晃) そういうことになります。小規模旅館ですから、温泉振興会に入りたくても経費面で入れないところもあるのではないでしょうか。

世古晃文さん

世古 晃文さん
(鳥羽市観光協会専務理事)

世古(素) 相差地区には旅館組合と民宿組合があり、合わせて60数軒の宿泊施設があります。旅館8軒、民宿50数軒のうち、お客様の利用が多いのは温泉を提供している宿泊施設です。民宿でも温泉があれば宿泊客で埋まっていくので、温泉があること自体が、温泉のない施設との差別化になってきています。

相差で料理がいいのは当たり前で、温泉があるかないかは重要です。実際に私どもの施設は9室の民宿で海も見えない立地ですが、料理と温泉で確実にリピーターが増えています。

世古素大さん

世古 素大さん
(鳥羽市温泉振興会副会長 伝洋若旦那)

吉川 世古さんが言われるように、鳥羽では温泉を使っている宿と使っていない宿の大きな差別化が始まっています。鳥羽には400万人の観光客が訪れ、200万人の宿泊客があります。そのうちの70%を温泉振興会52軒で対応している状況のなか、規模の大小はともかくこの現状を知ってもらって温泉を導入できるよう働きかけていくことが、これからの10年に必要なことかもしれません。相差ではそれが如実に出ているのですから。

寺田 旅行をするには温泉、という感覚がお客様の一般常識になっています。この常識に対応できないと、客離れがおきるということを温泉振興会の会員が率先して知らしめていく努力をしなくてはなりません。少しでも会員を増やし、皆で鳥羽温泉郷を盛り上げていけば、さらにパワーアップした温泉郷になります。初期投資は必要ですが、必ず還元されます。

世古(晃) 温泉を導入することで、温泉を楽しんでもらえる浴場の整備やおもてなしに至るまで対応が変わるものです。それがサービスの向上にもつながり、宿の価値観を高める効果に結びつくと思います。

奥野 そうですね。温泉の価値観を宿に入れることで、これまでとは違った魅力が生まれるものです。それが宿の文化になっていくのでしょう。

―宿の価値観という面では温泉振興会加盟施設で、温泉ソムリエの取得に熱心だと聞きました。

迫間 日本初とか、日本で一番多いといった言葉が枕に付く鳥羽にしたいなと思って、若手の会である「ゆーわく倶楽部」のメンバー皆で温泉ソムリエの資格を取りましょうって提案すると即、承認され、現在26人の温泉ソムリエが誕生しています。

今後「温泉地でもっとも温泉ソムリエが多い鳥羽温泉郷」といったアピールをしていきたいと思っています。温泉振興会加盟旅館に必ず1人、温泉ソムリエがいるようになることが目標です。

温泉の泉質の効能や効果などを説明することで、温泉宿としてお客様にアプローチしやすいし、販売促進につながると思って取り組んでいます。

→「温泉郷の誕生から今、そしてこの先10年 鳥羽市温泉振興会発足10周年記念座談会(3)」につづく

座談会参加の皆さん

  • 吉川 勝也さん(鳥羽市温泉振興会会長 サン浦島社長)
  • 寺田 順三郎さん(鳥羽市温泉振興会副会長 戸田家社長)
  • 世古 晃文さん(鳥羽市観光協会専務理事)
  • 小見山 健司さん(鳥羽市観光協会特別顧問)
  • 世古 素大さん(鳥羽市温泉振興会副会長 伝洋若旦那)
  • 迫間 優子さん(鳥羽市温泉振興会理事 鳥羽ビューホテル花真珠若女将)
  • 奥野 和宏さん(鳥羽市温泉振興会事務局長)

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