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温泉郷の誕生から今、そしてこの先10年 鳥羽市温泉振興会発足10周年記念座談会(1)

三重県鳥羽市では行政と宿泊事業者が協議を重ね2007年4月から入湯税の徴収を始め、今年で10年を迎えました。入湯税の徴収後、鳥羽温泉郷はどのように発展して現在に至っているのでしょうか。鳥羽市温泉振興会代表のメンバーにお集まりいただき、今後の10年を踏まえた話をお聞きしました。

座談会参加の皆さん

  • 吉川 勝也さん(鳥羽市温泉振興会会長 サン浦島社長)
  • 寺田 順三郎さん(鳥羽市温泉振興会副会長 戸田家社長)
  • 世古 晃文さん(鳥羽市観光協会専務理事)
  • 小見山 健司さん(鳥羽市観光協会特別顧問)
  • 世古 素大さん(鳥羽市温泉振興会副会長 伝洋若旦那)
  • 迫間 優子さん(鳥羽市温泉振興会理事 鳥羽ビューホテル花真珠若女将)
  • 奥野 和宏さん(鳥羽市温泉振興会事務局長)
鳥羽市温泉振興会

鳥羽市温泉振興会メンバーが集い、温泉郷の取り組みと思い、
発展に向けた意欲を語り合いました

「お客様と共感する温泉」吉川さん 「安心・安全が第一義」小見山さん 「新しい温泉地の先鞭」寺田さん

―鳥羽市温泉振興会の設立から10年。振り返ってのご感想をお願いします。

吉川 鳥羽に来られるお客様には鳥羽に温泉があることを認識いただけるようになったと思います。公的なアンケートで「温泉が目的の一つ」といった記述があることからもそれがわかります。

小規模旅館にとってもこれまでオフシーズンだった11月から3月までがオンシーズンになりました。

10年間で1174万4千人に入浴いただき、観光振興へも大きな役割を果たせたと思っています。それにより18億円という多額な入湯税をお客様から頂戴しており、このお金をお客様にどのように還元していくのか、また地域振興にどのように活用していくのか。10年という節目を迎え、これからの10年に向かってどのように進んでいくべきかを考える段階に入ったとも思っています。

鳥羽市の第一次観光基本計画は温泉振興会発足時にできて、観光立市のスタートを切りました。10年が経った現在、第二次観光基本計画が策定され、温泉振興会は鳥羽市の観光振興にとって大きな役割を果たしていると自負しています。

これからは市民の皆様やたくさんの若い人たちにご協力をいただきながら、お客様との共感できるポイントを捜し、一緒に夢を語っていけるようになればいいな、と思っています。

吉川勝也さん

吉川 勝也さん
(鳥羽市温泉振興会会長 サン浦島社長)

小見山 温泉振興会を設立して鳥羽を温泉郷にしていこうと進めた矢先、自らが温泉を掘削し源泉を持っている施設と、他の温泉地から運び湯をしている施設とのバランスが問題になりました。

両者で前向きに検討した結果、安心・安全の確保さえできれば湯元、運び湯の垣根を越えて入湯税をいただき、多くのお客様にご利用いただこうじゃないかという点で落ち着き、現在に至っています。

安心・安全を第一義としている温泉郷ですから、会員施設のご理解をいただいて年2回、温泉をきちんと適正に活用しているのかどうか、抜き打ち検査を行って温泉管理に努めています。

小見山健司さん

小見山 健司さん
(鳥羽市観光協会特別顧問)

―全国の温泉地の入湯税のほとんどが一般財源化されています。例え観光振興のための目的税になっているところでさえ、消防や道路の整備などに使われ、実態はつかみにくいのが現状です。

世古(晃) 鳥羽の場合は観光振興に50%、消防と環境に10%ずつ、残りの30%が泉源保護といったように明確に条例で決められています。

お客様からお預かりした税をきちんとお客様に還元しているスタンスは「鳥羽モデル」と言われ、評価されるようになりました。

寺田 全国の温泉地の歴史をみると湯治場として始まり、地元の人たちが湯治湯を共同体で運営するケースが多いと思います。

鳥羽は近代的な温泉掘削や運び湯でできあがった温泉地です。既存の温泉地とは形態が異なって当然といえるかもしれません。新しくできた温泉地として入湯税を導入した温泉地であるがゆえに、新しい温泉地のあり方の先鞭を切ることができたのかもしれません。

寺田順三郎さん

寺田 順三郎さん
(鳥羽市温泉振興会副会長 戸田家社長)

―鳥羽の旅館組合加盟施設と温泉振興会加盟施設とのバランスといった意味では、いかがですか?

世古(晃) 旅館組合加盟施設は180軒です。そのうちの52軒が温泉振興会に加盟しています。一見少ないようですが、鳥羽全体の宿泊客の70%が振興会加盟旅館という大きなマーケットを握っていることになります。

→「温泉郷の誕生から今、そしてこの先10年 鳥羽市温泉振興会発足10周年記念座談会(2)」につづく

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