恵み豊か冬の但馬を食らう(1) 松葉ガニに心弾む
15/12/16
浜坂、香住、津居山―ブランドガニを一心不乱に
松葉ガニが旬を迎え、山陰海岸一帯が活気づく冬。浜坂、香住、そして城崎温泉、湯村温泉とカニどころの宿泊地には新鮮なカニ料理を食べようと毎年、ファミリーやグループ客が大挙押し寄せる。まちは一年で一番の観光期を迎え、冬の寒さに負けない熱気に包まれるのだ。
但馬西端、新温泉町・浜坂港は日本有数の松葉ガニの水揚げ量を誇るカニのまち。カニの専門家「カニソムリエ」も育成しており、「カニ元」を宣言しているほど。浜坂港では、熟練のプロが選び抜いた最上級のカニを青色のタグでブランド化しており、高額な値段に見合った美味さは推して知るべし。山間部の湯村温泉の旅館ホテルでは直送された逸品をフルコースにして提供する。
城崎温泉では車で5分という近さにある津居山漁港のブランドガニ「津居山ガニ」に出会える。旅館ホテルでは新鮮な旨味を老若男女が舌鼓。外湯めぐりとカニの2つの熱気と外の寒さが絶妙な心地よさを生む。
但馬ではほかにも香住、柴山各港で水揚げ。周辺には古くから民宿が集積し、リピーターが待ってましたとばかりに毎年やってくる。
各宿はカニの匂いが充満し、「冬の但馬に来たな」と実感する。旅館ホテルや民宿が提供するフルコースは、まずはゆで、焼き、蒸しと単純な調理法で松葉ガニ独特の弾むような白い身と濃厚なコクを堪能。そしてカニすきを皆でつつき合う。皆がカニを食べるのに無言になってしまうのはお約束だ。カニ味噌や甲羅酒などのオプション、旨味が凝縮された雑炊でしめれば、満足度が低いはずがない。
松葉ガニシーズンは漁が終了となる3月ごろまで。新鮮な旨味は現地でこその味わいだ。