文化観光立市・堺の可能性-竹山市長と久保田JTB常務が対談(2)
まち歩きの魅力増す―竹山市長 訪日客や教育旅行に―久保田常務
―その中で利晶の杜がオープンします。
竹山 利晶の杜のオープニングに合わせて、今まで点だった堺の観光を線で結び面にしていく。旧市街地と百舌鳥古墳群のある大仙公園周辺を一つの面とします。また、江戸中期の民家「町家歴史館山口家住宅」などもぜひご覧いただき、堺らしさを面として売り出していきます。
久保田 利晶の杜に来なければならない唯一無二の体験ができると素晴らしいですね。
竹山 千利休茶の湯館に併設して「待庵」という利休が作った茶室を再現します。与謝野晶子記念館では晶子直筆の作品など、ここでしか見られない晶子の本、ゆかりの品を集め展示します。また、生家「駿河屋」の店がまえを再現します。
久保田 文学に関心がある人がお茶に、お茶に関心のある人が文学に興味を示し交流が生じるかもしれません。ぜひオンリーワンの施設になることを期待しています。
竹山 表千家、裏千家、武者小路千家の「三千家」による茶室運営や茶会が開かれるのも利晶の杜だけです。利休の生まれたまちとして、三千家の家元にご協力いただいています。日本の茶の湯の歴史でも三千家の家元が一緒になって茶室づくりに協力いただけるのは例がないと思います。
久保田 まさに500年の歴史の結実ですね。お茶は今、国際的にも注目されています。インバウンドにもプラスになるでしょうね。
―面への取り組みをもう少し教えてください。
竹山 堺市は南北方向にJR、南海電鉄、阪堺電車が走り便利なのですが、東西方向が弱い。そこで利晶の杜を基点にしたループバスで補い、観光ボランティアガイドによるまち歩きも提案しています。
久保田 昨年世界文化遺産に登録された群馬県の富岡製糸場は、日本の近代化にどんな役割を果たしたのかをガイドが説明するから、あれだけ人が集まるのです。ただ古い工場を見るだけでは「いいな」で終わってしまいます。ガイドしてもらうから、次の人へ伝えるサイクルができる。こうしたソフトの部分に労力とお金をかけるのも大切なことですね。
竹山 広域の面づくりにも取り組んでいます。大阪南部の泉州9市4町で観光ルートを作り、アジアを中心とした外国人にアピールしています。泉州は海で地引網などができ、山には犬鳴山温泉や牛滝温泉、京都の美山のような雰囲気の古民家もあります。美味しいものも多く、秋には「だんじり」もあります。
久保田 インバウンドでもリピーターが増えてくるので堺や泉州で時間を使うことは十分に考えられます。
竹山 歴史文化はもちろん、ものづくりがアピールポイントです。特に刃物は、世界各地のシェフが欲しがるものです。京都の「有次」や奈良の「菊一文字」などでも、実は堺産の刃物がたくさん売られています。
久保田 世界が認める技術力にも関わらず、ブランドが伴っていないのでしょうか。
竹山 そうです。隠れた名品状態です。大阪市内の通天閣近くでカナダ人の方が堺の包丁を売っていて、外国の人たちが堺まで来られています。なかには見学できる工房もあります。
久保田 やはり百聞は一見にしかず。それがSNSなどITでどんどん広がる時代です。
→文化観光立市・堺の可能性-竹山市長と久保田JTB常務が対談(3)に続く
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