「祈りの島」五島列島を探訪(1) キリシタン史伝える教会群
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の2016年の世界遺産登録が迫ってきた。すでに登録を待たずして五島列島の世界文化遺産候補構成資産の教会やその他の教会などを訪れる観光客が増加傾向になっている。五島市と新上五島町では同市町内にある教会を巡る日帰りツアー「五島列島キリシタン物語」を販売。五島自動車でも島々に残るキリスト教の史跡を訪ねる「五島列島キリシタンクルーズ」を実施し、効率よく世界遺産候補地をまわることができる。
ステンドグラスも見どころ
「祈りの島」と呼ばれる五島列島。数多くの教会が点在し、自然との景観と融合、独自の佇まいを見せている。
世界遺産候補になっている3つの教会から紹介していこう。「旧五輪教会堂」は下五島で最も古い教会建築。外観は和風、内部はゴシック様式という明治初期の教会堂建築史を物語る存在だ。「江上教会堂」はクリーム色の外壁に水色に塗られた窓枠がアクセントになっている。黄色と白の花模様がステンドグラスに手描きされ美しい。「頭ヶ島天主堂」は信者が切り出した砂岩を積み上げて造った全国でも珍しい石造りの教会堂。内部は折り上げ天井で、花の装飾が多くあしらわれていることから、「花の御堂」とも呼ばれる。
上五島にある「青砂ヶ浦天主堂」はレンガ造り教会堂の完成形と言われ、外光が差し込んだ際のステンドグラスの美しさが絶賛を呼ぶ。国指定の重要文化財。
「大曽教会堂」は八角型のドームがある釣塔がそびえる赤レンガの聖堂が印象的。半円アーチの窓を飾るステンドグラスは西ドイツ製。「中ノ浦教会堂」は列柱上部の白壁に五島特産の椿の花をモチーフにした装飾があり、桃色の天井には花柄が施されている。海辺に映る姿が鮮明で「水鏡の教会」との別名も。
教会ではないが、明治初期のキリシタン弾圧を逃れた信徒が隠れ住んだと伝わるのが「キリシタン洞窟」。1967年に高さ4㍍の十字架と3・6㍍のキリスト像が建てられた。ほかにも「旧鯛ノ浦教会堂」「福見教会堂」などがある。
下五島には福江島を代表する教会で、五島のキリシタン布教の中心的な教会として「堂崎教会堂」がある。現在は資料館として使われ、堂内には布教時代から迫害を経て現在までの歴史が展示されている。「水ノ浦教会堂」は木造の教会堂としては最大規模。「玉之浦教会堂」は仏教徒の多い集落である玉之浦港付近に移住した信徒のために建てられた。
「井持浦教会堂」は1899年に日本で最初のルルドの洞窟が造られ、信仰の聖地として全国から信徒が訪れている。
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