湯郷は「おもちゃの街」 懐かしい夢空間が広がる/湯郷温泉
施設が集結 まちづくりで活性化
湯郷温泉のまちづくりはなんとも独創的でポジティブ。アートとの融合を図ったり、女将さんたちがイベントに奔走したり。温泉街を元気にするべく地域一体で発想力、行動力を発揮している。そのなかでも目立つのが「おもちゃ」による地域振興だ。
「温泉街=おもちゃ」と言ってもピンとこないだろう。しかし、湯郷温泉には近年、おもちゃにまつわる施設が次々にオープン。その機運と、おもちゃが持つ文化性や温かみに着目し2011年に「おもちゃの街」宣言までしてしまった。おもちゃを通して「家族で楽しめ、心の豊かさを育てるまちづくり」を図ろうという趣旨の宣言は温泉地に求められる風土そのもので、ここで温泉街とおもちゃがイコールに。さらに、おもちゃを核に広域連携を図るなど本気さが伝わってくる。
湯郷を「おもちゃの街」にした施設は4つ。「湯郷温泉てつどう模型館&レトロおもちゃ館」は08年のオープン以来、多くの人から寄贈を受けるなど支持を集めている。レトロおもちゃ館には約5万点ものミニチュア玩具や大正―現代のおもちゃがズラリと並ぶ。てつどう模型館は約20平方メートルもの巨大ジオラマが人気を集め、今日もNゲージが走る。
「現代玩具博物館・オルゴール夢館」は開館15周年を迎えた10年に湯郷に。からくり人形など世界のおもちゃや100年以上前の製造のオルゴールなどが展示されている。また、おもちゃ作りを体験したり、プレイルームで遊んだり、オルゴールコンサートに聞き入ったりとおもちゃとのふれあいを提案。親子で楽しめる夢空間が広がる。
「あの日のおもちゃ箱昭和館」はその名の通り、懐かしさが充満。旅館を改装した施設内には往年の人気イラストレーター・小松崎茂さんの作品や、大正―昭和初期の生活用具、雑誌、漫画、おもちゃなどを展示するほか、1階ちゃぶ台の部屋ではたまごかけごはんやお茶漬けも。そこはもう昭和だ。
同温泉のシンボルの1つが「からくり時計」。8―21時の1時間おきに、美作に残る伝説の巨人「三歩太郎」が登場し時を告げる。登場時の大きさは約9メートルとまさに巨人。小窓からは湯郷温泉を発見した円仁法師や宮本武蔵も顔を出す。
いずれの施設も同温泉観光案内所を中心に集まっており、まち歩きにうれしい。おもちゃは湯郷の大きな魅力として浸透している。
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