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クエ―食通も魅了「幻の魚」(1) 忘れられない味

「捨てるところがない」 高級感に納得の味わい

南紀の冬を代表する味覚、クエ。本州中部以南に生息するハタ科の魚で、成魚は体長1メートルを超え、重さも30―50キログラムに達する。黒潮あらう紀伊水道の磯深くに潜み、なかなか獲ることができないことから幻の魚と呼ばれている。

大きな口で黒い魚体の姿はグロテスクだが、食通の間では昔から美味なことで知られ、高級魚ともされていた。身は脂の乗った美しい白色で、通いわく「上品で深みのある味わい」。さらに「ゼラチン質がたっぷり含まれた皮やアラは一度食べると忘れられない味」とも言われている。

近大クエ

白浜の「近大クエ」は
天然に勝るとも劣らず

南紀の中でも日高、有田地方、白浜温泉周辺がクエ料理で知られた存在。旅館ホテル、民宿では秋から冬にかけてクエずくしの会席を出すところも少なくない。クエ会席の品書きはざっとこんな感じ。食前酒はクエのヒレ酒、先付にはクエ皮を湯引きして梅肉を和えたものや肝ポン酢など。造りは薄造りで。クエトロの握り、焼きグエ、天ぷらまたはから揚げ、クエ鍋と続き、クエの旨みがたっぷりの雑炊で締める。クエは捨てるところがない、と言われ、肝や目玉に至るまでいろんな部位が食べられる。調理方法も和、洋含め様々に地元で確立されている。

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