軽快さと豪快さ誇る石見神楽 島根県西部一円で鑑賞(1)
12/04/16
島根県西部に位置する江津市や浜田市、津和野町などでは、石見神楽の上演団体が100―150あると言われており、これはまさに“神楽王国”。神楽は様々なシーンで舞われ、神社での奉納はもちろんのこと、各種イベントでは必ず上演されるほか、結婚披露宴では定番の出し物になっている。石見人が愛する「石見神楽」を紹介しよう。
地域に根ざした舞を継承
石見神楽は石見地方の伝統芸能で、島根県西部一円で演じられているものだ。全国には様々な神楽が伝承されているが、そのなかでも石見神楽はリズムの軽快さと衣装の豪華さで、他に類をみない独特の神楽であるといわれる。
神楽の演目は現在上演されているものだけでも30種類。古事記や日本書紀を原点とするものや、よく知られた神話や伝説を元にした内容になっている。100を超える神楽社中が石見地方には残り、地域に根ざした舞を連綿と受け継ぐ。
1970年の大阪万国博覧会に参加した際、多くの見物客にわかりやすいようにと、効果音や視覚的な要素を織り交ぜた演出を取り入れ、ショー化の傾向を強めたことが石見神楽を身近なものにしたとされ、現在では祭りやイベント、競技大会など多くの場で上演されるようになった。
石見神楽の代表的な演目として「大蛇」「鐘馗」などが知られる。なかでも「大蛇」は石見神楽のハイライト。神話をもとにしたこの演目は、スサノオノミコトがヤマタノオロチのいけにえにされようとする老夫婦の愛娘イナタヒメを助けるため、毒酒を飲ませて退治するという物語だ。複数の大蛇が煙幕を吐きながら立ち回る光景は圧巻だ。
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