熊野古道伊勢路 「平成の熊野詣」が盛んに
旅行会社も商品化 人気高まるトレッキング
熊野古道「伊勢路」は、伊勢から熊野速玉大社へ向かう参拝道で、平安時代には天皇、上皇、貴族から武士、庶民に至るまで、多くの旅人が歩いた道とされる。
紀伊・中辺路が公式な熊野参詣ルートとなってから衰退したが、江戸時代に紀州藩が道を整備し、庶民による西国三十三カ所めぐりが盛んになって復活したといわれる。
その熊野古道伊勢路が昨今、「平成の熊野詣」として注目を集め、旅行会社も商品造成に乗り出している。JTBでは7―9月まで伊勢・鳥羽発着の「熊野古道伊勢路巡りバス」を運行。鳥羽から瀧原宮、馬越峠(プチウオーキング)、熊野古道センターなどをめぐる日帰りコースだ。
また10月から近畿日本ツーリストと日本旅行のコラボ企画「き・ら・り三重」でJTB同様の日帰りバス・ウオーキングプランを実施する。
東海地方の女性雑誌が熊野古道のトレッキング体験を募集したところ、300人近くが応募するという人気ぶりで、「山ガール」が熊野古道伊勢路に興味を持つかがわかる結果も出ており、10―11月に別の女性誌で同様の体験ツアーを行う。
熊野古道伊勢路はツヅラト峠、荷坂峠、一石峠・熊谷道、馬越峠といったコースが全部で18あり、どのコースも標識が設置され道路整備も行われているため、歩きやすい。
なかでも紀北町と尾鷲市の境目にある馬越峠は、一面にシダが生えたヒノキ林のなかに石畳があり、伊勢路でもっとも人気のある石畳道だ。
馬越峠コースが道の駅海山から馬越峠登り口まで0.5キロ10分、そこから馬越峠まで1.3キロ50分。峠から馬越公園までは0.7キロ20分、公園からJR尾鷲駅まで1.5キロ40分と4キロ2時間という短い距離で歩けることも人気のひとつになっているようだ。
また三重県では、人気が高まる伊勢路をこれまで以上に前面に出そうと、来訪客増加や経済効果を生み出す効果を目的に熊野市、尾鷲市、紀北町を対象に「熊野古道シャトルバスに乗って、お得に泊まろうキャンペーン!」を実施し、誘客活動を展開している。
宿泊と交通手段をセットにした宿泊プランを販売し、宿泊促進を図ることが目的で、宿泊事業者はそれぞれ独自の取り組みを行っている。
このほか、紀伊半島を「世界の祝祭ゾーン」として捉え、伊勢神宮、熊野、高野山を「世界の聖域」に位置づけてアピールしていく構想もある。
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