松葉ガニ漁一斉解禁 カニ元・浜坂から湯村温泉へ
冬の味覚の王者・松葉ガニ漁は11月6日に山陰沖沿岸で一斉に解禁。漁港や周辺の温泉地には、漁が終了となる3月ごろまで、京阪神などからカニ目当ての観光客がドッと押し寄せる。カニファンにたまらない季節がやってきた。
松葉ガニは、福井県以南の日本海沿岸で獲れるズワイガニのオスの総称が。京都・丹後の間人(たいざ)港の「間人ガニ」など水揚げ港ごとに呼び名があり、各地で色つきのタグをつけてブランド化している。
兵庫県新温泉町の浜坂港は、2008年度のズワイガニ水揚げ量が683トンという日本有数の「カニ元」で、カニの専門家「カニソムリエ」も育成しているほどだ。浜坂港の松葉ガニは品質、色、形いずれも最上の活きたカニのみを選別し青色のタグを取り付けてブランド化。プロの目で選び抜かれたカニはファン垂涎の的となっている。
松葉ガニの魅力は、ぎっしり詰まった弾力ある身と、ほんのりとした甘さ。鮮やかな白と朱色のコントラスト、独特の匂いが食欲をそそり、一心不乱に殻から身をとる。そして一口味わえば濃厚な旨味が口の中に充満する。想像しただけでもヨダレが出そう。
代表的な調理法はゆで、焼き、刺身、そしてカニすきと、いずれもいたって簡単なもの。鮮度の良いカニは手を加えずとも十分美味しく、料理によって様々な味わいが楽しめる。濃厚なカニ味噌も通好み。甲羅の上にカニ味噌、日本酒を注いだ甲羅酒は左党の舌を満足させる。カニすき後、旨味が凝縮されたカニ雑炊で締めるのは定番中の定番だ。
湯村温泉をはじめ周辺の旅館ホテルや民宿、食事施設では、これらをフルコースとして提供。セリで競り落とされた新鮮なカニをお腹いっぱい味わい、温泉、宿泊でゆっくりという至福の旅を演出する。冬のぜいたくはこれで決まり。
浜坂漁港せり市場では11月20日の9―13時、恒例の「浜坂みなとカニ祭り」を開催。先着3千人にカニ汁が無料で振る舞われるほか、「カニソムリエ」が目の前で松葉ガニをさばく食事コーナーやセコガ二の大釜ゆでの即売、カニつり大会などが催され、カニ尽くしの1日となる。