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上高地をぶらり歩く 奥の奥まで歩いてこそ

のんびり歩いて自然に親しむ

上高地は、大正池から最奥部の横尾まで梓川沿いに続く約10キロ、最大幅1キロの渓谷。全行程ほぼ平坦で、よく整備された遊歩道はウォーキングやトレッキングにぴったり。奥の奥まで、歩いてこその上高地を楽しみたい。

4月27日、上高地開山祭が終わると、河童橋から木道が多い右岸の遊歩道で明神を目指す。明神までは約1時間。すれ違ったハイカーはそれほど多くなく、半数は外国人。彼らも「こんにちは」とあいさつをくれる。明神池を左に過ごし、河童橋に少し似た吊り橋を左岸に渡ると明神館に着く。外のテーブルで明神岳を仰ぎ見ながら生ビールを飲むのが、ここでの決め事。

福岡から来たご夫婦は、上高地内の異なる宿泊施設で3泊する。ゆっくりとトレッキングを楽しむそうだ。

明神から徳沢方面に少し行くと、徳本(とくごう)峠へと登る道がある。昭和初期に釜トンネルが開くまで、上高地への主要なルートは、島々からの徳本峠越えだった。江戸期に木材の伐採や炭焼きで開拓された上高地は、明治期には牛や馬の夏の放牧場としても利用。人とともに牛や馬も徳本峠を越えた。

明神岳を回り込むように、左岸を河童橋まで、歩く。右岸と違って景色がよく開けている。40分ほどで小梨平に着く。ここはキャンプ場になっていて、いくつか小さなテントが張られていた。近くに小さな橋が架かる清水川が流れる。湧水を水源とするわずか200メートルほどの川で、天候にかかわらず濁ることも、枯れることもない。上高地の旅館は清水川の水を上水として利用している。

翌朝は雨。バスターミナルからまっすぐ帰ろうかとも思ったけど、歩くことにする。傘を差して河童橋から右岸を大正池方面へと歩く。土を打った雨の跳ね返りがズボンの裾を濡らすけど、気にしない。ウェストン碑に寄ってから田代橋あたりに来ると、ニホンザルの群れが遊歩道沿いで草やら木の新芽を食べていた。何匹かは赤ちゃんを連れていた。

田代橋から県道上高地公園線に出て、帝国ホテル前からバスに乗ろうと思ったけど、どうやら行ったばかりのよう。大正池まで歩くことにする。田代橋手前を左に入ると、散策路は梓川沿いルートと林間ルートに分かれる。いつも開山祭の時期は、まだ残雪が多くて林間ルートは閉鎖されていることが多い。今年は雪がない。久しぶりに林間を歩くことができた。

田代池に寄って、しばらく歩くと開けた川原に出る。そこから県道下の木道を歩き大正池に着いた。河童橋から雨の中、のんびり歩いて1時間ほどだった。

梓川右岸

梓川右岸の木道を歩く

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