箱根大涌谷が誇る名物「黒たまご」 寿命が7年延びる?
世界に知られる名物
標高1千メートル、箱根エリアでも最も標高の高い景勝地、箱根大涌谷。噴煙を上げる箱根火山の独特の景観と富士山の眺望が多くの人を引き付け年間300万人が訪れる。1つ食べれば寿命が7年延びると言われる「黒たまご」は海外にまで知られた名物で、買ったばかりの黒たまごの殻を剥き一心にほお張る老若男女をそこかしこで目にすることができる。
噴煙があがる大涌谷一帯は大涌谷園地と呼ばれ、富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区に指定されている。遊歩道が整備され、駐車場や箱根ロープウェイ大涌谷駅から、噴煙地に近い「閻魔台」までは15分程度の登り。ここでは新鮮な卵を籠に入れ、温泉に浸け黒たまごをつくる様子を見ることができる。
閻魔台に玉子茶屋があり、ここで買った黒たまごをほおばりながら景色を楽しむ人も多い。
黒たまごは、箱根火山噴煙地の地熱と火山ガスを利用して、すべて大涌谷でつくる。生卵を温泉池で茹でると、気孔の多い殻に鉄分が付着し、これに硫化水素が反応して、黒い殻のゆで卵ができあがる。
卵は、温泉池のある閻魔台まで散策路脇を通る専用のロープウェイで運ばれる。100個ずつ籠に入れられ約80度の温泉池で1時間茹でられる。温泉池には最大で40籠、通常は20籠が浸けられる。
茹でた卵を100度の自然蒸気で15分ほど蒸せば黒たまごのできあがり。自然エネルギーだけで生産されるエコな名物だ。この黒たまご、1個食べれば寿命が7年延びるとされる。大涌谷の散策路入口には鎌倉時代に作られたと伝えられる「延命地蔵尊」があり、このお地蔵様のご利益だとされる。
黒たまごが買えるのは、ここ大涌谷だけ。大涌谷観光センター、ゆ~らんど、玉子茶屋、極楽茶屋で販売している。
昨年の夏休み、大涌谷観光センターが中心となり、「世界最大の黒たまご」をつくるイベントが行われた。家族連れら千人が黒たまごを一緒に食べて、その殻を高さ1.6メートルの卵の模型に糊で貼り付け、世界最大の黒たまごを完成させた。
茹でる前の卵に油性のマーカーでペイントし温泉に浸ける「オリジナル黒たまごワークショップ」も人気を集めた。黒の部分を夜空に見立てた打ち上げ花火や星空。緑地に黒の縞模様を活かしたスイカなど、ユニークなオリジナル黒たまごができあがった。
大涌谷観光センターが今年11月にリニューアル
大涌谷観光センターは、現在、今年11月の竣工に向けた全面リニューアル工事中で仮設店舗での営業。施設内には箱根ジオパークの拠点施設となる「箱根火山学習センター」も開設されることになっている。
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