羽田空港から蒲田へ(1) 空港から穴盛稲荷を歩く
たまには歩くのもいい
海外都市と一番近い東京の街、蒲田。羽田国際空港―蒲田間は電車で10分ほど、シャトルバスで15分ほどの近距離だ。
「国際線ターミナルから、穴守神社駅の組合長のホテルまでは、歩きでだって15分ほどで行けます」
蒲田ホテル旅館組合の西澤忠昭前組合長に、そう聞かされたのが新鮮に聞こえ、近さを感じてみたいと思った。雨と気温の上がらない日が続いた今年の東京の夏。お盆過ぎの晴れ間をついて、羽田空港国際線ターミナルから穴守稲荷神社を経て、蒲田方面へ徒歩と電車で移動してみた。
羽田空港国際線ターミナル駅まで利用した京急のエアポート特快の車内が多くのスーツケースでひしめいていたのに比べ、羽田空港国際ターミナルビルの玄関前は比較的閑散としていた。ターミナルの交番で、駅では2つ隣の穴守稲荷神社までの道順と時間を訪ねると、あまりない質問らしく地図を取り出して、確かめながら教えてくれた。「20分くらいですね」。
ターミナル周辺は芝生がきれいに刈り込まれ、植栽も整えられていた。ただ歩道に街路樹は一切なく、歩いている人は皆無だった。昼前の強い日差しに炙られて汗が噴き出した。右手に広がる空港に飛行機が数機駐機しているけど、動きはなく飛行機が発着する空港らしい景色が見られる道ではなかった。
左側にはフェンスが続き、広いエリアが空き地や工事中だった。次第に前方に街が近づいてきて、海老取川を渡って街に入った。このあたりまで写真を撮りながら25分ほどだった。空港からどこかの街まで歩いたのは、これまでにない体験だった。ただ、夏は日陰がなく、冬は風を遮る建物もなく寒そう、景色も取り立てたものはなく、やはりここはタクシーを使った方がよさそう。
穴守稲荷神社は戦後の羽田空港拡張のため、現在の場所に移された。招福の砂のご利益や、空港で働く人が多く参拝することで知られる。でも、特に空の安全を祈願する場所ではなさそうで、掛かっていた絵馬には「羽田から台湾の旅行が無事でありますように」と1枚だけあった。
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