日本三名泉・下呂温泉の魅力 美人の湯をじっくりと
安定の泉質を湯めぐりで
岐阜県の最大の湯どころにして宿泊拠点、下呂温泉。日本三名湯のひとつとして名を馳せる。今も昔も旅人の心をひきつける、この山間の名湯の魅力はどこにあるのか。泊まってまちに繰り出せば、おのずとわかるというものだ。
下呂温泉は平安中期に発見されたと伝わる。鎌倉時代には温泉街の中央を流れる飛騨川の河原で白鷺によって再び温泉湧出が見つかったという伝説も残る。
以来、多くの旅人に愛されてきたわけだが、その人気は良質な泉質あってこそ。無色透明でほんのりとした湯の香り、そしてなめらかな肌ざわりの心地よさが癒しを与えてくれる。そして温泉内では温泉の適正管理をきっちりと行っているため、下呂温泉旅館組合加盟旅館なら、どの旅館でも同じ泉質のお湯に入ることができるのが安定した人気の秘けつなのだ。
泉質の良さを宿泊客に伝えることや温泉の保護を目的に1974年、全国に先駆けて温泉集中管理システムを導入。温泉内にある複数の源泉をタンクに集め湯元として集中管理することで、過度の加水・加温をしなくても常に適温とされる55度を保った状態で、各旅館ホテルなどに供給し続けている。
下呂温泉の泉質はアルカリ性単純温泉。全国でも多いアルカリ性単純温泉のなかでも、下呂温泉は他温泉地の追随を許さない泉質を誇り、リウマチや運動機能障害、神経痛、神経麻痺、病後回復、疲労回復など美容や健康づくりに優れた効能を持つとされる。
Ph9.18という高アルカリ性が肌の角質を落としてくれるのが「美人の湯」として名高い理由。これを生かして下呂温泉では「素肌美人プロジェクト」を展開しており、泉質や地元の食など美容に効果がある魅力を女性客にアピールしている。源泉100%利用の化粧水「下呂温泉みすと」も開発。肌にやさしい潤いを与え、新しいお土産として人気も高い。旅館などで販売している。
せっかく下呂に泊まるなら複数旅館でその泉質を体感したい。「湯めぐり手形」を利用すれば、旅館組合加盟の旅館3軒のお風呂が利用できる。1枚1300円で、購入日から6カ月間有効。加えて大正時代から続く洋風建築の「白鷺の湯」、昔ながらの銭湯の雰囲気を残す「幸の湯」、多彩な温泉を楽しめる「クアガーデン露天風呂」という3つの共同浴場での外湯めぐりもいい。
飛騨川沿いの噴泉池(ふんせんち)では飛騨川をバックに下呂温泉の源泉入浴が可能。鷺の足湯やビーナスの足湯など足湯も温泉街中に10カ所ある。