女性の成長と幸せ願い舟が行く　和歌山市加太

全国から集まる雛を供養する神事

紀州和歌山の雛祭り行事として名前が挙がるのが、和歌山市加太の淡嶋神社で行われる「雛流し」。こちらの雛流しは全国から奉納された雛人形を舟で海へ流すという神事だ。

淡嶋神社の雛流しは毎年３月３日、雛人形の供養のために行われる。女性の成長と幸せへの願いが込められたもので、例年多くの人が参加、見学に訪れる。

この祭りが全国的に知られるのは、雛祭りと同神社の関係の深さが関係する。御祭神である少彦名命（すくなひこなのみこと）と神功皇后の男女一対の御神像が男雛女雛の始まりとされるほか、雛祭りの語源も同神社の祭礼に関係するという説もある。紀州徳川家は代々雛人形を奉納し、全国からも雛人形が寄せられる。

雛流し神事は、全国から奉納された雛人形を本殿でお祓いした後、白木の舟に乗せて、雛祭りの歌とともに海へ送り出す。全国から集った女性たちが、幼いころから親しんだ雛人形に幸福への願いを託して舟を見つめる姿は、「女性のための神様」をまつるとして信仰を集める同神社の雛祭りならではの厳粛さに満ちている。

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