山焼き、椿、桜の春リレー 伊東市
伊東に春告げる伝統行事
お椀を伏せたような山容が特徴の伊東市のランドマークは大室山。もう1つ小室山もある。伊東の春の風物詩は、大室山を丸ごと焚き上げる山焼き。標高580メートル、直径300メートル、裾野から山頂まで覆うカヤを麓から山焼きする。
700年の伝統がある。かつては農家で使うカヤを育てるための山仕事の一つだった。今は伝統行事として、また、カヤで覆われた大室山の柔らかな山容を守るため、毎年2月の第2日曜日に行われている。
今年の山焼きは2月12日。麓から一斉に点火すると、東京ドーム約20倍ともいわれる山が、わずか30―40分で豪快に丸焼けになる。山焼きからひと月もすると、灰の下からカヤが芽を出し大室山を再び若草色に変えていく。
山頂までリフトで登れる。相模湾に浮かぶ大島、伊豆七島から天城連山、富士山、箱根へ続く山並まで360度のパノラマが広がる。
大室山は約4千年前に噴火した火山。そのとき流れ出た溶岩流は、伊東市の観光の名所でもある、断崖絶壁の海岸線が見どころの城ヶ崎海岸をつくりあげた。
小室山では2月18日―3月12日、小室山公園つばき園で「つばき観賞会」が開かれる。椿は伊東市の花木。市内には多くのやぶ椿の自生地がある。1.5ヘクタールのつばき園内には1千種4千本の椿が植えられ、種類、木の大きさ、花の咲く期間の長さの総合力で、「日本一のつばき園」とされる。10月中旬から早咲きの品種が見ごろとなり、遅咲き品種は5月末まで花をつける。
椿のあとは桜。3月11日から、花の見ごろを追いかけながら、3つの桜まつりが開かれる。伊豆急・伊豆高原駅周辺に200本植栽されている大寒桜から見ごろを迎え、伊豆高原の桜のトンネル、大室山さくらの里へと、約1カ月にわたり花見ができる。例年、野外劇やコンサートなどのイベントが桜まつりを盛り上げている。