琵琶湖と生きる―滋賀県「水の文化」 日本遺産、祈りと暮らし伝える
生活に根付く滋賀の営み
文化庁の日本遺産に滋賀県からは「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」が認定されている。日本の"母なる湖"とともに生きてきた地域の生活風土は地域固有のものであり、日本が誇るべき文化。県では、この日本人の高度な「水の文化」を観光振興や地域活性化につなげようとアピールしている。
日本遺産は、地域の文化財をつなぎ、その価値や魅力を伝える「ストーリー」を観光振興に生かそうというもの。滋賀県と大津市、彦根市、近江八幡市、高島市、東近江市、米原市が申請し、2015年4月に認定された。
「琵琶湖とその水辺景観」の概要は、琵琶湖と水文化にスポット。琵琶湖周辺では「水の浄土」の教主・薬師如来が広く信仰されている歴史、水を汚さない暮らしのスタイル、鮒ずしなどの独自の食文化や伝統的な漁法、琵琶湖の生物と人の共生など、琵琶湖と地域住民の調和による「水の文化」の歴史を伝えている。
ストーリーを構成するテーマは大きく分けて3つ。「水と暮らしの文化」「水と祈りの文化」「水と食の文化」だ。
「暮らし」は、水を巧みに取り入れ、水を大切に使う琵琶湖とともに育まれた生活文化と景観に見どころがある。湖岸の石積みや共同井戸、湧水など水をうまく使ってきた生活様式が見える高島市の水辺景観や、ラムサール条約保護湿地の近江八幡市の水郷、淡水湖中の島で今も漁業を生業にし続ける日本唯一の島・沖島などが構成文化財。
「祈り」は水を敬い、「水の浄土」として信仰されてきた琵琶湖固有の歴史文化。琵琶湖を望む地に建立され、今も篤い信仰を集める比叡山延暦寺、今も秘仏の薬師如来が祀られる近江八幡市の長命寺、木材を水上輸送する際から受け継がれてきた高島市の「シコブチ信仰」、湖に浮かぶ信仰の島・竹生島など琵琶湖と地域の歴史を伝える地が点在している。
最後に「食」。琵琶湖、河口が生んだ生業や郷土食はまさにこの地ならでは。平安時代を発祥とする安曇川のヤナ漁をはじめとする伝統漁法、鮒ずしや湖魚料理といった食文化財、ビワマスやコアユなど琵琶湖の魚介類が地域の暮らしを伝えてくれる。
県はホームページで日本遺産の魅力を発信。モデルコースも設定し、か「水の文化」を体感する観光を勧めている。
周遊にフリーきっぷ 3月発売
日本遺産・琵琶湖の周遊に便利な「滋賀・びわ湖フリーきっぷ」が3月1日から、旅行会社向けに発売された。京阪電鉄の大津線、近江鉄道、信楽高原鐡道の全線で3日間自由に乗り降りできるほか、琵琶湖汽船とオーミマリンのいずれかの航路に1回乗船できる。
きっぷは、個人型主催旅行商品のオプション販売にのみ設定。4月1日から来年4月2日まで利用でき、有効期限は3日間。県内65カ所の施設、機関で優待特典もある。観光案内所や主要港で引き換える。琵琶湖汽船はミシガン、湖南航路高速船、竹生島クルーズ、オーミマリンは竹生島めぐりと多景島めぐりが対象となっている。
販売価格は大人2500円(子ども半額)。問い合わせは、びわこビジターズビューロー 電話077―511―1530。
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