松山流"温故知新"(1) 「松山はいく」など俳都でまちづくり
俳句による地域ブランディングが国に認められ、四国で唯一「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」に選定された松山市。松山城を夜景スポットとして売り出す「光のおもてなし」など地域素材を活用した観光まちづくりを進める松山市を紹介する。
観光庁の魅力創造事業に選定
観光庁の今年度の「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」に6月26日、松山市が提案していた「HAIKUブランディング事業」が選定された。四国では唯一の選定で、今後も「俳都松山」を軸とした観光まちづくりを目指す。
観光地魅力創造事業は市町村の取り組みについて観光資源の磨き上げと観光地づくりの中心となる「日本版DMO」の確立で地方創生、訪日誘客に対応できる観光地づくりを進めようというもの。今回の公募では全国で31地域が選定された。
「HAIKUブランディング事業」は松山はいく国際化推進委員会が事業主体。2017年に正岡子規と夏目漱石生誕150周年を迎えることから俳句や文学のまちでもある「俳都松山」の知名度やブランド力を向上させる。国際写真俳句大会の開催や「俳句や文学」を活用した新しい旅行商品を開発し、国内外からの観光交流人口の拡大につなげる。
俳句は国際的にも人気が高い。EUのファン=ロンパイ元大統領が同市を訪れた際に俳句を投函したことやアメリカのオバマ大統領もホワイトハウスでの日本との公式晩餐会において、俳句で日本との友好関係をアピールした。
松山市が開催する「瀬戸内・松山写真俳句コンテスト」では30カ国を超える国々から約2千句の応募がある。1966年の正岡子規生誕100年を記念して設置し始めた俳句ポストは海外を含めて110カ所にも及ぶ。そのうち松山市内には94カ所に設置されている。
「俳句」と「ハイク」をかけたガイドと歩くまち歩き「松山はいく」は滞在時間の延長や交流人口の拡大、地域内消費金額の増大を目的に10年からスタート。一過性に終わらない「着地の魅力づくり」と「情報発信」を連動させた観光まちづくりにより、参加者は10年に9コース531人だったのが14年には30コース4417人に増加し、着実に成果を挙げている。
人気1位は四国霊場51番札所・石手寺への「歩きお遍路体験」。約1時間半で国宝・二王門やマントラ洞窟などの見どころをまわる。料金は1千円。2位は道後温泉本館からハイカラ通り、老舗の水口酒造をまわりながら一句詠む「俳句女子のススメ」。もちろん男子も参加OKで、料金は2千円。
そのほか、道後の縁結びスポットを訪ねる「恋はいく」や、子規の通学路を歩く「子規の青春はいく」、夕暮れ時の道後ン温泉街をゆっくり楽しむ「道後ゆーゆーはいく」など、松山ならではのコースが並ぶ。いずれも1―3時間で参加でき、旅程に組み込みやすいのも特徴だ。
グループ向けには「松山城90分コース」と「道後60分コース」を設定。句会ライブに挑戦する企業研修、慰安旅行や学習旅行など様々なスタイルの旅も提案している。
毎年8月には全国各地の高校生が松山に集結し「俳句甲子園」を開催。俳句甲子園の今年度の大会には32都道府県、95校、127チームがエントリーしている。
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