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高質な宿に泊まる(2) 箱根仙石原

仙郷楼 かけ流し、畳文化に矜持

箱根・仙石原温泉の老舗旅館、仙郷楼(39室・定員150人)。1870年の創業で、今年141年を迎えた。仙石原温泉の湯元である大涌谷で、古くから温泉の権利を有し、そのため館内で使用する温泉は豊富。大浴場や貸切風呂、13室ある露天風呂付き客室の浴槽すべてが源泉かけ流し。温泉旅館としての矜持がそこにある。

継承したいのは愚直なまでの日本旅館であり、日本の伝統文化を守りたいという思い。旅館は訪れた人が明日への活力を生み出す場所であり、日常の苦労を洗い流すのが温泉旅館。そして畳文化と食事の部屋出しには強いこだわりを持つ。

こうした思いが別邸奥の樹々で具現化した。玄関から先はすべて畳廊下。6つある客室は広さが80―130平方メートルで、すべて露天風呂付き。いずれも主室10畳、寝室10畳の二間だが、襖や障子をあけ放つと、客室の広さを実感できる。

畳廊下が、2つの客室をぐるりと取り囲み、客室によっては、部屋として使っている畳より多い。相当に広い濡縁があり、そこから続く庭園、その奥に箱根の山の借景がある。

朝夕食とも部屋出しだが、いずれの客室も係りが寝室を見ることもなく、主室で食事の用意ができる動線になっている。日本旅館の伝統を継承しながら、昔とは様変わりしたプライバシーに対する感覚にもしっかりと応えている。

別邸

別邸奥の樹々

内部

日本旅館にこだわる

ロッヂ富士見苑 料金、アクセスとも手軽

ロッヂ富士見苑(26室・定員116人)は箱根・仙石原高原の高台にある手軽な温泉旅館。

自ら手軽とうたうには理由がある。まず、料金が手軽。夕食なしプランは平日4950円から。夕食に会席料理がついて8450円からと手軽。

そしてアクセスが手軽。新宿から箱根桃源台行きの高速バスが、ロッヂ富士見苑から徒歩0分の南温泉荘バス停に停車する。所要時間は約2時間。昼間は30分ごと、夕方以降は1時間に1本運行している。

しかも、新宿発の最終高速バスは19時30分発。都内で食事をして高速バスに乗り込めば、22時前にはチェックインを済ませ、温泉に浸かっていることもできる。「朝食付き22時までチェックインOKプラン」を利用しよう。

料金やアクセスは手軽でも、眺望や温泉、料理は立派なもの。客室や大浴場からは、仙石原高原や箱根外輪山の山なみ、さらにその奥には富士山をも眺めることができる。お風呂には、今なお噴煙を上げている大涌谷より直接引湯したにごり湯が、たっぷりとかけ流しにされている。

12月1日からは恒例のふぐ会席宿泊プランが3月16日までの期間限定で始まった。年末年始や休前日・休日の設定はないが、1泊2食付きで9950円からと、たいへんにお得。

大浴場

かけ流しの大浴場

客室

眺望のいい客室

ホテルグリーンプラザ箱根 冬にこそ訪れたい宿

箱根ロープウェイ姥子駅に近い標高870メートルの高原にあるホテルグリーンプラザ箱根(123室・定員500人)。箱根温泉郷広しといえども、これほど周囲が広々としていて、高原にいることを実感させてくれる宿泊施設はほかにないのではないだろうか。

ここでは、雄大な富士の眺めと、良質な自家源泉を存分に堪能できる。しかも、同時にだ。

露天風呂からは男女ともに富士山を眺めることができ、特に女性用露天風呂から望む富士山は絶景。富士見風呂の名に負けない眺望は空気が澄む冬に一層の輝きを増す。

富士山の冠雪がオレンジ色に染まる朝焼けから、昼間の真っ白の富士、日暮れとともに黒いシルエットに変わっていく富士。冬ならではの眺望がここにある。富士山の眺望も温泉でのくつろぎも、本当は冬こそが一番ふさわしい。

雪見の露天風呂もここならではの体験。箱根温泉郷の入口、箱根湯本と、標高870メートルのここでは季節も違う。例年1―2月の半分くらいは雪景色に変わるという。

そんなとき心配なのは、道路の凍結や積雪。こうした不安を解消しようとホテルでは、東京駅から都庁前を経由してホテルの玄関前まで高速バスを運行している。毎日1往復、東京とホテルを約2時間で結ぶ。

冬の雪道も楽々の直行バス付き宿泊プランなら安心、楽々。ぜひ利用してみたい。

富士見風呂

名前の通り絶景の富士見風呂

ホテル外観

抜群のロケーション

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