「わ鐵」に揺られ富弘美術館 渓谷と緑と絵画と詩
11/08/02
渓流の自然の中に魂のアート
栃木県との境に位置するみどり市。桐生市と栃木県日光市を結ぶ全長44キロの「わたらせ渓谷鐵道」のハイライトが、みどり市の大間々駅から始まる約30キロの区間。車窓に渓流と緑の景観が続く。地元では「わた渓」「わ鐵」の愛称で呼ばれ、週末や夏休みにはトロッコ列車が運行される。
といいつつ、今回初めてのみどり市は「わ鐵」に沿った国道122号線の旅。こちらも悪くなかった。みどり市の市街地から、渡良瀬川沿いの緑溢れる景観まではあっという間だった。
目指すは富弘美術館。みどり市出身の画家、星野富弘の作品を収蔵している。草木湖沿いの深い緑のなかに立つ美術館は、建築物としても目を引いた。調べれば日本建築学会賞の作品賞を受賞している。
星野富弘と聞いて誰だか思い出せなかったけど、絵画を見て義理の両親の家のカレンダーの絵だと気付いた。頸椎を損傷し、口にくわえた筆で描いた絵画と詩。お見舞いの花をスケッチすることからはじめたという作品には山野草が多い。
絵には惹かれなかったけど、詩や言葉に惹かれた。20代前半で手足の自由を失った絶望から再生への足跡をたどることができる。
美術館には小学校の修学旅行生がたくさん来ていた。122号線をもう少し行くと足尾銅山がある。修学旅行は、富弘美術館と足尾銅山跡での観光教育をセットにしているようだった。富弘美術館には「わ鐵」の神戸(ごうど)駅からバスが出ている。
草木湖の対岸に国民宿舎サンレイク草木がある。湖を見下ろす一軒宿で、今年4月にリニューアルした。露天風呂や竹炭の湯、クマ笹エキスの漢方の湯が楽しめる。