熊野古道伊勢路を歩く 17の峠は語り部とともに
海、山と変化に富む
伊勢神宮から三重県東紀州エリアを抜け、和歌山県熊野三山へと続く「熊野古道伊勢路」。2つの聖地を結ぶルートとして昔から民衆の人気を集め、多くの巡拝者が歩いてきた、まさに「古道」だ。昨年、世界遺産登録10周年を迎えた熊野古道にあって独特な存在感を放つ伊勢路を歩き、聖地巡礼のパワーを得たい。
伊勢路は全長約170キロ。険しい山々から雄大な海まで見どころ十分の自然景観は今も昔も旅として十分な魅力を備え、江戸時代以降、伊勢・熊野詣は「伊勢に七度、熊野に三度」と言われるほど人々の憧憬を集めた。近年はウオーキングルートとして人気を集めている。
三重県側、伊勢神宮を出発し、紀北町に入るととにかく険阻な山道となる。荷坂峠やツヅラト峠など10以上の峠が連続するが、山々の眺望や熊野灘に浮かぶ紀伊の松島などの風景が旅の疲れを癒してくれる。
なかでも見どころは往時のまま今も残る石畳。特に紀北町と尾鷲市の境にある馬越峠は歴史風情十分で観光客の人気も高い。
七里御浜を一望する松本峠を越えると、日本最古の神社と言われる「花の窟神社」。そのまま海岸の七里御浜沿いの浜街道を新宮市まで行けば、熊野速玉大社へとたどりつく。
その途中にある国名勝・天然記念物の巨大な岩山「獅子岩」は、海に向かって咆哮する獅子のような迫力。必見だ。
伊勢路の旅をより深いものにしてくれるのが「語り部」。熊野古道伊勢路語り部友の会が、ツヅラト峠から馬越峠、浜街道まで紀北・紀南で全17の峠コースで語り部を派遣してくれる。各峠の歴史や文化、自然環境についての案内を聞きながらのウオーキングが楽しめる。
語り部1人につき20人まで対応可能で、料金は1日1峠5千円。「西国一の難所」と言われた八鬼山越えコースのみ同1万円。
問い合わせは観光販売システムズ 電話052―589―0160。
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