光放つ宮城へ(1) 世界で最も美しい湾・松島で感じる風雅
東北に間もなく、春がやってくる。復興が叫ばれて久しいが、それを実感する声はまだまだ力強いものではない。ただ、観光面における歩みは着々と進んでいる。宮城県では昨年から今年にかけて周年事業や新施設の開業など明るい話題が相次ぎ、さらに今春にはJR石巻線が全線復旧するなど、地域を照らす光束はより太く、より明るく輝きだした。春がもたらす躍動感を東北・宮城の地で感じたい。
日本三景が誇る自然美と歴史
宮城県を代表する自然空間といえば松島。日本三景のひとつとして、松島湾に浮かぶ260の島々が風光明媚な自然美で訪れる人を感嘆の世界に誘ってきた。古くは平安、江戸時代には松尾芭蕉など多くの人を魅了した風雅の美は震災を経た今も変わらない。
2013年12月には日本で初めて「世界で最も美しい湾クラブ」へ加盟。松島湾が魅力的で優れた自然を有することなどが評価され、加盟が認められた。同クラブはユネスコとも連携するNGOで、世界遺産登録地も含む世界31カ国・42湾が加盟しているもので、名実ともに「世界の松島」へと進化を遂げたというわけだ。
松島では湾に浮かぶ島々を一望できる「四大観」など見どころはたっぷり。春になると、西行戻しの松公園の満開の桜と松島湾の風景の競演が美しい。
また、松島には文化財や史跡も多く、独特の歴史空間を形成。瑞巌寺は伊達政宗建造の名刹で、国宝指定の本堂や庫裡が往時の伊達家の権勢を感じさせる。本堂は16年3月まで大修理中。
西隣の円通院はバラの寺として知られ、厨子の扉内部に描かれた西洋バラが支倉常長による西洋文化の影響を伝えている。
円通院に隣接する洗心庵は両寺院参拝の休憩処。宮城名物のお土産や食事メニューが充実しており、ずんだ餅や牛たん膳のほか、牛たんや三陸の海の幸を使った団体用メニューも豊富に用意している。個人・団体とも松島観光の立ち寄りに最適だ。
瑞巌寺からほど近い旅館「花ごころの湯 新富亭」は松島ならではの景観と食、風呂が自慢。松島湾を見下ろす高台に立ち、屋上展望台からの眺めは壮観の一言だ。三陸海岸の幸と熟練の技が織りなす会席料理と檜樽型露天風呂で心身ともに充実の旅を演出する。
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