雪国新潟の特別な春(1) うまさぎっしり温泉と食
「うまさぎっしり新潟DC(デスティネーションキャンペーン)」が4―6月に行われる。2009年秋の前回開催からは5年ぶり、通算では京都市に次いで多い8回目を数える。今回のDCで売るのは雪国の特別な春。特別な春に訪ねる温泉と未体験な食、残雪、花の世界を紹介する。
湯に浸かり米、酒、魚を味わう
新潟県の温泉地数は全国3位の154カ所。温泉は300キロの海岸線に、肥沃な越後平野に、そして高原・山岳リゾートが連なる内陸部にと、泉質や風情を変えて点在する。日本海の夕陽を望む瀬波温泉や鵜の浜温泉、県都新潟市の奥座敷は岩室温泉。美人の湯として女性に人気がある新発田市の月岡温泉では今年、開湯100周年を迎えた。小説「雪国」の舞台となった越後湯沢温泉など、高原エリアにも名湯は数知れない。
温泉に滞在したら未体験の「うまさぎっしり新潟の食」が待っている。新潟は名物として「米、酒、魚(肴)」を磨いている。新潟県はコシヒカリの一大産地だが、そうは言っても日本人の主食である米を堂々と名物にうたっている県がほかにあるだろうか。
実は「東京で食べても大阪で食べてもコシヒカリはコシヒカリ」ではない。宿のプロの料理人が新潟の水で丁寧に炊き上げたコシヒカリを新潟の風土のなかで食べる。本場で食べるコシヒカリは、間違いなくいつも食べているコシヒカリとは違うのだ。
新潟の旅館ではおいしい朝ごはんを多くの人に食べてもらおうと、5年ほど前から、若手経営者が中心となり「にいがた朝ごはん」プロジェクトに取り組んでいる。宿泊施設で出す朝食に決めごとをつくった。新潟県内産のコシヒカリを使う、新潟県内産の食材を使用した地域共通のおかずで提供すること。プロジェクトは宿泊施設の意識も変えた。地域間でおいしい朝食を競い、朝食のクオリティも格段に向上した。今年、県内21地域の139軒の宿がプロジェクトに参加している。いくつか紹介しておくと、佐渡では春採れ海藻のしゃぶしゃぶ、岩室温泉ではしそ味噌岩室ぶれんど、松之山温泉ではフキなどをつかった山菜朝まんま、鵜の浜温泉では獲れたて春魚の天日干しといった具合。
同様に、昨年の春には「にいがた地酒の宿」プロジェクトが始まった。新潟県は全国で最も多い91の蔵元がある清酒王国。しかも、温泉同様に県内全域に点在しているのが特徴で、地域で飲まれ愛されてきた地酒と呼ぶにふさわしい。
だからこそ地酒の宿にも決めごとをつくった。県内産の地酒と、県内産の食材をつかい地酒に合った献立を提供すること。新潟県酒造組合が認定する新潟清酒の達人が宿にいること。
新潟の宿で米、酒、魚(肴)を確かめよう。