若さゆえ四季の魅力―福井県若狭地方(3) 嶺南観光の特徴は
2014年度に舞鶴若狭自動車道の全線開通を控える福井県。全通で京阪神と北近畿を結ぶ高速道の環状ネットワークが形成され、関西や中京圏からのアクセス、周遊が便利になる。
舞鶴若狭道が14年度に全通 嶺南広域行政組合、調査ふまえ誘客事業
県はこの機会を絶好の好機と捉え全県で観光地整備を進めるが、とりわけ開通区間の敦賀市や小浜市など嶺南・若狭路地域は対策に余念がない。嶺南広域行政組合は開通前の若狭路の観光客の動向を把握し誘客促進戦略に生かそうと昨年夏、日帰り観光客と宿泊客を対象に調査を実施し、結果をまとめた。
「観光商圏」は出向交通量から考えると当然、近距離から遠距離へ同心円状に設定され、メーンの商圏は近畿や北陸、東海となった。反対に、その外側の地域「潜在商圏」は、関東は東北や九州より近いのに発生率がより低くなった。
「強み」の分析では、やはり「海水浴・マリンスポーツ」目的の満足度は宿泊、日帰りともに90%弱と高い。8月の調査だったこともあるが突出した数字で、再訪意向も高く、花火大会と合わせて夏の最大の魅力と言える。そのほか名産・郷土料理、ドライブ、景色の満足度が高い。
反対に「問題点」は、今回全通で話題となるべき舞若道自体の認知度の低さ。近畿38.6%、東海20.4%とメーン商圏でも低く、関東や中四国とも大差がない。JR小浜線も同様で、アクセス手段が浸透していない。そのほか、メーン商圏では大半が海水浴目当てで海に依存しており、石川や丹後、白浜など他地域との競合も課題だ。また観光資源のポテンシャルも分析し、メーン商圏、関東など東方面で海のレジャーやカニなど海の幸の評価が高い。
調査報告では、結果を踏まえ、舞若道全線開通後の課題を抽出。海は強みだが、海依存は弱み、舞若道全通による機会創出がある反面、若狭が通過点化する脅威もはらむと分析し、「通年開発・広報」「消費機会の創出」「マイカー客に依存しない広域商圏開発と団体客誘致」「関東へのPR強化」などに取り組むべきと報告した。
今回の調査結果をもとに同組合が公募案から今年度の事業計画に決めたのが「めぐる!!つながる!!ぐるる若狭路」。舞若道全通のPRと若狭路の周遊促進を目的に、冊子の制作配布、モニターツアー、スタンプラリー、広報など各事業を一体的に展開する。
冊子は海、歴史、食といった若狭路の魅力を伝えるハウツー本で、新規客の開拓を図る。ツアーは三方五湖や敦賀などで行い、スタンプラリーは7―9月、10―12月、嶺南6市町の観光施設などをめぐると特産品が当たる。広報はキャラバンカーを使った出向宣伝や新聞広告、ウェブなどで情報を発信し、最終的に各事業を検証し、次期につなげていく。
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