南木曽で秋旅(1) 工芸街道まつり
長野県南木曽(なぎそ)町で今秋、木曽に根づいた歴史文化に触れるイベントが開かれる。木曽谷の南端に位置し、古くから信州の玄関口として栄えてきた南木曽町は、中山道の代表的な宿場町・妻籠宿を有し、桧笠やろくろ細工といった伝統工芸が盛んだ。町の中央を流れる木曽川と同様に、この町もまた古くから続くとうとうとした流れの中にある。歴史と自然、南木曽で暮らす人々の営みに触れる旅に出かけよう。
伝統の技を披露 11月3-4日に開催
南木曽町の妻籠宿から阿智村との境界である清内路峠までの国道256号線。桧笠や木地師のろくろ細工など、南木曽ならではの工芸品を手がける工房が沿道に点在している。そのため「工芸街道」と称され、素朴な中に木のぬくもりを感じられる郷土の逸品を求め訪ねる人は普段から少なくない。
この工芸街道が一年でもっとも賑わいを見せるのが、毎年恒例の伝統工芸品即売会「工芸街道祭り」。今年は11月3―4日に開かれ、4日には今年4月に木曽観光大使に就任した歌手の長山洋子さんのミニコンサートも行われる。
工芸街道祭りは今年で12回目。街道沿いに点在する木地師の里、桧笠の家、木曽檜木創、木曽路リゾート、富貴畑高原温泉郷を主会場とし、各会場では製作実演や工芸品の展示・即売をはじめ、漬物や甘酒が振る舞われる。また、街道沿いの食事処や温浴施設では割引などの特典が設定されている。
木地師の里は、ろくろ細工の工房が集積しており、天然の木目を生かした独特かつ素朴な風合いを持つ木工品が生産されている。祭りでは伝統衣装をまとった職人による手挽きろくろの実演が見もの。南木曽の風土に育まれてきた技術の粋を間近で見ることができる。ろくろ製品の割引販売やおでんの振る舞いのほか、ろくろ製品の修理にも応じる。
桧笠の家では、桧笠の製作実演や割引販売などを実施する。桧笠は、軽くて通気性が良く、木曽谷で古くから愛用されてきた。ヒノキを美しく編み上げ、最近ではインテリアとしても人気だ。期間中、漬物やお茶が振る舞われ、五平餅の出店や農産物の直売なども行われる。
木曽檜木創は、木曽ヒノキを熟練の職人が丁寧に仕上げた桶やタンス、神棚など温かさを感じさせる逸品が並ぶ。祭り当日は、商品を購入した人にヒノキ製の粗品をプレゼントするほか、おでんや煮物などを無料で振る舞う。
木曽路リゾートでは地ビールや温泉施設「木曽路館」の入浴を割引で提供。今年創業15周年を迎えたことから、木曽路の秋の幸を味わうプランを1泊2食付き1万円から提供。工芸街道祭りなどに合わせて、のんびり癒す時間を過ごしてはどうだろうか。4日10時30分からは、長山洋子さんのミニコンサートも木曽路リゾートで開く。
富貴畑高原温泉郷では、ホテル富貴の森で一風呂浴びたい。
そのほか、街道沿いの食事処ではドリンクや一品、粗品をサービス。木曽谷の山々が色づき、紅葉がちょうど見ごろとなる秋の2日間、南木曽の魅力を思う存分体感してみよう。