風土に触れる旅・長野県南木曽町(1) 工芸街道祭り
長野県南西部、木曽谷の南端に位置する南木曽(なぎそ)町は、信州の岐阜県側玄関口。町の中央を木曽川が山の間を縫うように流れ、中山道の宿場町・妻籠宿を有する歴史の町でもある。そんな谷あいの里には、桧笠やろくろ細工といった伝統工芸が住民の生活の一部分として昔から根付いている。秋は南木曽の工芸文化や歴史に触れられるイベントも開催。歴史と自然、そしてこの地で暮らす人々といった南木曽の風土に触れる旅もまた、趣き深い。
桧笠製作やろくろ細工
南木曽町が誇る宿場町・妻籠宿から、隣の阿智村との境界である清内路峠まで国道256号線を行くと、沿線には南木曽ならではの工芸品を手がける工房が点在している。桧笠、ろくろ細工―。南木曽の木のぬくもりを感じられる郷土の逸品を求めて、訪ねてまわる人も多い。
この"工芸街道"が一年で最も輝く季節が今年もやってくる。この街道沿線で開かれる、毎年恒例の伝統工芸品即売会「工芸街道祭り」。今年は11月5―6日、南木曽が秋の賑わいに包まれる。
同祭りは今年で11回目を迎え、主会場は木地師の里、桧笠の家、木曽檜木創、木曽路リゾート。各工房では製作実演や工芸品の展示・即売、おでんやお茶の振る舞いが行われ、街道沿いの食事処や温浴施設では利用特典が受けられる。例年、多くの人が訪れる南木曽の秋の風物詩だ。
桧笠は軽く通気性も良いことが特徴で、木曽谷では古くから愛用されてきた。ヒノキを美しく編み上げており、最近ではインテリアとしても人気を集める。桧笠の家では、桧笠の製作実演や割引販売などを実施。漬物やお茶も振る舞われ、桧笠に親しみながらひと時を過ごす。
木曽檜木創は、職人が熟練の技術で木曽ヒノキの製品を製造。桶やタンス、神棚など温かさを感じさせる逸品が並ぶ。祭り当日は、商品を購入した人にヒノキ製の粗品をプレゼントするほか、おでんや煮物などを無料で振る舞う。
木地師の里は6軒の工房の集積地。ここでは、天然の木目を生かした独特かつ素朴な風合いを持つろくろ細工が生産されている。祭りでは伝統衣装をまとった職人による手挽きろくろの実演が最大の見もの。南木曽が育んできた技術の粋を間近で見るチャンスだ。ろくろ製品の割引販売やおでんの振る舞いのほか、ろくろ製品の修理にも応じてくれる。
木曽路リゾートでは地ビールや温泉施設「木曽路館」の入浴を割引で提供。南木曽の風に吹かれての露天風呂入浴で疲れを癒したい。
そのほか、街道沿いの食事処ではドリンクや一品、粗品をサービス。木曽谷の山々が色づき、紅葉がちょうど見ごろとなる秋の2日間、伝統工芸と自然という南木曽の魅力を思う存分体感したい。
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