にいがた中越を極める旅(4) 五感全開で味わう地域の矜持
14/02/06
雲洞庵に近い六日町温泉・龍言は、約4千坪という庭園を中心に移築した越後の庄屋や豪農の屋敷が離れのように並ぶ。
新デスティネーションとして有望な地
まずは餅つきの歓待を受けたのだが、男性4人が杵をもって登場し、臼を中心に回りながら、おそろしい速さで突いていく。その間、いっさい水を差さない。餅本来の味が生きるそうだ。「うちの名物なの。しっかり食べてね」と女将に勧められるがまま、雑煮やきなこ餅をたらふく食べた。確かに美味かった。
満腹のはずなのに、地元産たっぷりの懐石料理をいただく。締めも炊き込みなどではない。南魚沼産の新米コシヒカリが白飯のまま。さすが。新潟の宿の矜持である。
金属洋食器の全国有数の産地である燕市では「磨き屋一番館」でビアカップの磨きを体験。マイスターの指導で磨くと、みるみるカップの光沢が増していく。体験後、製品のタンブラーでビールを試飲させてもらった。普通のグラスに比べて泡立ちがよく、美味さが増した気がする。ぐい呑みで日本酒も。これまた、まろやかと言うか、比べて飲んだ陶器とは酒の種類が変わったと感じるぐらいだった。体験料は大人1500円。
1泊2日の早足で、中越を極めたとはとても言えない。ただ、この短期間でも五感をフル動員した。現在、新潟県の宿泊客数に占める関西客の割合はわずか1.4%。来春の北陸新幹線開業とともに、新しいデスティネーションとして有望なのは間違いないだろう。
(富本一幸)
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