笑顔、笑顔の奇祭 福井・勝山左義長に心震える(2)
12/04/12
勝山左義長で気付いたこと。それもすぐに。そう、皆が皆、笑顔なのだ。演者、祭りを支える町民、そして観光客までも。まち全体が祭りを心から楽しんでいる様子がダイレクトに伝わると、見ているこっちも自然と笑顔になる。
もっと見ていたい笑顔 ドンド焼きに切なさ
各町ではお接待が振る舞われ、行燈に書かれたとんちの聞いた川柳が笑いを呼ぶ。どこを歩いてもお囃子の音が聞こえ、町ごとに雰囲気が違うことも楽しさを増幅させる。一日経てば勝山に親しみ、勝山通になった気分だ。
祭りの締めくくりは、九頭竜川河川敷でのドンド焼き。祭りの期間中、各町に立てられていたご神体がオレンジ色の炎の中に消えていく。漆黒の闇を豪快に照らす炎とご神体が燃えていく音が静かに響きさまが祭りの終わりを感じさせ、少しの切なさを連れてくる。
ツアーに大阪から参加した勝山出身の男性は「これほどのものをなぜPRしないのか」。ガイドを務めてくれた同会議所会頭の荒井由泰さんは「今後は観光客にもこの魅力を"おすそわけ"して、10年後には全国区の祭りにしたい」と意気込みを聞かせてくれた。
「日本一―」の理由は本当だった。時間が経った今も頭の中を「蝶よ花よ」と陽気なお囃子がこだまし、踊り手の笑顔が蘇る。
(長池貴志)