初沖縄で脱・日常にはまる
12/04/02
沖縄県・久米島は「ゆったり」している。ありきたりの言葉だけど、都会とは"体感時間"の流れ方が違う。そのインパクトは大きかった。
白状すると沖縄上陸は初めて。シュガーライド久米島で訪れるのが初沖縄、しかもいきなり離島。正直、期待と不安が半々だった。
取材中、レンタカーを走らせると常に人はまばらで、いたるところでサトウキビが風に揺れている。島民とおぼしき軽トラはゆっくりと進み、ラジオからは三線の音色が流れ、「なんくるないさー」とも言っている。天候によって島の風景は都度表情を変え、サイクリングを楽しむ参加者の笑顔がある。緊張と不安は自然と融けていった。
島の風景もすっと心に染み入る。険しい林道を抜けると眼前に青々とした南国の海が。参加者の大半が思わず「わーっ」と感動の声をあげてしまうのも納得だ。慶良間諸島まで見通せる崖・比屋定(ひやじょう)バンタや、沖縄最高地の城跡・宇江城(うえぐすく)城跡から見る絶景に息をのみ、琉球王朝時代建造の旧家・上江州家(うえずけ)で沖縄の風土を知る。異文化と言っていいような光景とのんびりとした島の空気感が、仕事なのに "脱・日常"をもたらしてくれた。
景色の美しさと風を感じて走る参加者を眺めながら、なぜ自分も大会にエントリーしなかったのかと心底後悔した。
(長池貴志)