今年の高知は「オタク伝」(1) 田舎にフィギュアの聖地
高知県が面白い。昨年、NHK大河ドラマ「龍馬伝」で脚光を浴び、今年はどうかな?と思ったけれど、夏の旅行シーズンを前にしっかり仕掛けてきた。それも意外な組み合わせで。
JR四国とJR西日本、高知県が7月14―15日、1泊2日のプレスツアーを実施した。9月末まで開催している「高知・四万十・足摺キャンペーン」をPRするため在阪マスコミを中心に招いたもので、5日前にお披露目になったばかりの「海洋堂ホビートレイン」「海洋堂ホビー館」「『龍馬伝』幕末志士社中」を見学した。
まず、高知県の窪川駅と愛媛県の宇和島を結ぶ「海洋堂ホビートレイン」に乗った。海洋堂ホビー館のオープンを盛り上げるため、9日から1日1往復で運行をはじめた。車両はJR四国と四万十町、海洋堂がコラボしたラッピングで、真っ赤なボディーが印象的。7人掛けシートほどのスペースにショーケースに入れられたフィギュアも展示されている。世界的なフィギュアメーカーの海洋堂ならではだ。
ホビー館最寄りの予土線・打井川駅で下車した。といっても、最寄り駅のここから細い山道を5キロほど行かなければならない。すれ違いがやっとの急カーブが連続する。なるほど「へんぴなミュージアム」と通称名が付けられているわけだ。
なぜ、こんな山村に建てられたのか。海洋堂の創業者でホビー館館長の宮脇修さんが高知県大方町の出身だったから。宮脇さんはお菓子に付く「食玩」のパイオニアで、おまけの概念を覆した精巧なフィギュアで世界的に知られている。海洋堂は今、大阪府門真市に巨大な恐竜フィギュアが乗っかった本社屋でも知られる。
ホビー館は、廃校になった小学校の体育館を利用した施設で、館内に海洋堂の歴史とコレクションがびっしりと展示されている。ボードに書かれた校歌やステージがそのまま生かされたつくりは魅力的。秋葉原ではない田舎にオタクの聖地を打ち立て、四万十町一帯の活性化を目論む。