隠岐でローソクを灯す 自然の不確実性に価値
10/09/28
日本航空(JAL)が大阪伊丹―島根県・隠岐間に夏期限定で運航しているジェット便を利用して、8月最後の週末に隠岐へ行った。旅行会社の商品造成担当者らを招いた隠岐観光協会主催の研修に同行させてもらい、隠岐4島のうち島後を訪ねた。
研修は1泊2日で、樹齢2千年の八百杉をはじめとした巨樹めぐり、牛突きなどを駆け足で見学した。その中で、参加者たちを唸らせたのが「ローソク島遊覧」。高さ20メートルほどのロウソクのような形をした岩を遊覧船で見に行く。と書くと味気ないが、お天気が良い夕方で、しかも海も穏やかな日にしか出航しない遊覧船だ。
福浦漁港から遊覧船に乗って約15分。夕暮れ迫るローソク島に着く。島の周りは他の遊覧船や漁船も集まっている。ここからは船長の腕の見せどころ。岩の先端にちょうど夕陽が重なると、ロウソクが火を灯しているように見える。刻々と日は沈んでいくから、それに合わせて船を動かし、しかも船の前方、後方に座る乗客すべてにロウソクの火を見せてあげなければならない。
日本全国どこでも見られる夕陽だけど、こんな夕陽観賞スポットはそうない。船が出るか否かもお天道様次第で、旅行商品にはしづらいかもしれない。そんな不確実性も含めて、乗船料2千円の価値は十分あると参加者の何人かで同意した。
今年で就航5年目を迎えたジェット便は、この夏79.9%の搭乗率だった。