"結氷"と飛騨文化で冬満喫-奥飛騨薬師のゆ本陣(1) 露天風呂で見る幻想世界
3千メートル級の山々が連なる北アルプスの西麓にあり平湯・福地・新平湯・新穂高の5温泉地が揃う岐阜県奥飛騨温泉郷。温泉郷には100カ所を超える泉源があり、毎分3万7千リットルの湧出量は全国3位を誇る。露天風呂が各所に点在し、その数は全国一とも言われる。その中で、健康をテーマにした企画を進める新平湯温泉「奥飛騨薬師のゆ本陣」の取り組みを紹介したい。
夜にはライトアップ
「奥飛騨薬師のゆ本陣」がある新平湯温泉は、平家の落人が移り住んだとされる。1690年(元禄3年)には円空上人が湯治に訪れ、神通寺に約1年逗留したという記録が残る歴史ある温泉地だ。
「奥飛騨薬師のゆ本陣」は今年で創業52年を迎えた。数百年前に建てられた庄屋を移築した玄関、フロント・ロビーには重要無形民俗文化財に指定されている飛騨古川の伝統神事「古川祭」で実際に使われた「起し太鼓」が展示され、奥飛騨の古風な佇まいに触れることができる。
西館宿泊棟は鹿鳴館風の造りで明治時代のレトロな風情があり、ホッとする空間になっている。このほかにも館内には骨董品や水墨画家の打矢悳による水墨画を多数展示し、館内は博物館、美術館の雰囲気をかもし出している。
温泉は敷地内から湧出するナトリウム炭酸水素塩泉の薬師温泉、単純温泉の権現温泉、共同源泉から引く単純温泉の新平湯温泉の3つの温泉を所有。大浴場は単純温泉、露天風呂にはナトリウム炭酸水素塩泉が注がれており、一度の入浴で2種の異なる泉質を体感することができる。なかでも薬師温泉は自家源泉掛け流しで、ツルツルしっとりとした肌ざわりから美人の湯・美肌の湯と呼ばれ、リピーター客も多い。全国でも珍しい飲泉許可も取得している。
貸切風呂も檜風呂の内湯と露天風呂の日光の湯、屋根のない野天風呂の権現の湯の2カ所を備えている。
新平湯温泉では冬期に凍結した滝のライトアップや氷のアイスバー、砂防ダムトンネルのイルミネーションなどを行うイベント「奥飛騨雪と氷の祭典」を実施。これにヒントを得て4年前から、12月24日―3月1週目まで「氷結露天風呂」をオープン。
露天風呂の岩壁に長さ65メートル、高さ15メートルの結氷を造り、結氷を眺めながら露天風呂に入ることができるようになった。昼はコバルトブルーに輝き、夜はライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれる。全国的にも奥飛騨薬師のゆ本陣でしか行っておらず、冬期になると氷結露天風呂を求めて訪れる人も年々増加傾向だ。
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