国重文「渡邉邸」、平成の大修理終え4月5日オープン/新潟
6年に及んだ「平成の大修理」を終え4月5日、国の重要文化財「渡邉邸」(新潟県関川村)がグランドオープンする。改修工事が着手されたのは2009年。竣工まで約6年の歳月をかけた渡邉邸の改修は、往時の名建築の細部や普段は見ることができない裏側、建築技術を記録にとどめる貴重な機会として、また、改修作業の技術や工程も含めて建築関係者からも注目された。改修期間中も公開され、建築の専門家や愛好家が多く訪れていた。
渡邉家は1667年に当地に転居した旧家。最盛期には1千ヘクタールの山林と700ヘクタールの水田を経営、そのため一般的には分かりやすく豪農の館として紹介されるが、当主は廻船業や酒造業を営み、蓄えた財を財政難の藩に融資するなど金融業も手掛けた。
渡邉邸は三千坪の広大な敷地に堀と塀をめぐらし、500坪の母屋には、厳選された無節の柱や丸桁などが惜しみなく使われている。
母屋の屋根が豪壮。瓦屋根が普及する以前の作りで、現在では、あまり見ることができない貴重な大屋根は石置き木羽葺屋根と呼ばれる。木羽20万枚で覆われ、風で飛ばされないよう1万5千個の石が重しとして乗せられている。
母屋と現存する6つの土蔵(米蔵、味噌蔵、金蔵、宝蔵、新土蔵、裏土蔵)が国の重要文化財、庭園は国から名勝に指定されている。
4月4日に渡邉邸で、5日に関川村村民会館でグランドオープンを記念して「篠笛と和太鼓の調べコンサート」などこけら落とし公演が行われ。一般公開は5日から。
渡邉邸のある関川村は新潟県の北東部に位置し、東は山形県に接する。村の中央を流れる荒川沿いに高瀬、鷹の巣、雲母(きら)、湯沢、桂の関と5つの温泉が点在し、えちごせきかわ温泉郷と称する。約20軒の旅館があり、年間4万人が宿泊する。
【東京から】電車=上越新幹線で新潟駅まで1時間40分、新潟駅からは最寄りの米坂線越後下関駅まで約1時間。車=練馬ICから関越道で長岡JCTまで250キロ、日本海東北自動車道の荒川胎内ICまで90キロ、国道113号線で関川村まで15キロ。