秋の3湯三題噺(1) 鳥取県・三朝温泉
例年よりも少し早く、なんとなく「秋」の香りが漂い始めた日本列島。赤く染まった夕暮れに少しセンチメンタルを感じたりするようになった。懐かしさや風流といったイメージに、色づいて温かさを帯びる自然など、秋は旅情豊かな魅力に満ち溢れる季節といえる。今回は京阪神から北西へ1泊2日圏内、兵庫但馬・湯村温泉、鳥取伯耆・三朝温泉、岡山美作・湯郷温泉といった湯けむり情緒漂う温泉地で、秋の風情満喫の旅を紹介しよう。
現代湯治、恋谷橋、韓流
鳥取県中部、伯耆地方に位置する三朝温泉は、三徳川沿いに軒を連ねる和風旅館の光景が湯のまちの情緒を漂わせる、山陰を代表する温泉地のひとつ。高濃度のラドンを含有する放射能泉を有し、"万病の湯"として親しまれている。
この泉質の特徴から温泉医療が盛ん。医療施設と連携した湯治メニューが用意され、各旅館がプランを設定。三朝橋のほとりにある無料の露天風呂「河原風呂」などを湯めぐりして、連泊で "現代湯治"を体感するのもいい。
まち歩きでおすすめは、温泉街の東端に架かる恋谷橋。その昔、カジカガエルの声に導かれた男女がここで出会い、恋を成就させたというエピソードから、橋の中央のカジカガエルの像に思いを込めて触れると恋が叶うといわれる、恋のパワースポットだ。
三朝温泉が舞台の映画「恋谷橋」が今秋全国公開。カジカガエルが描かれた絵馬が販売されているほか、ロケ記念館もオープンし、縁結びのまち・三朝はロマンチックさに磨きがかかる。
また、鳥取県全域でロケが行われた韓国のドラマ「アテナ・戦争の女神」も話題。ロケ地満喫ツアーも登場しており、倉吉市の白壁土蔵群や三朝温泉の足湯など県中部のロケ地、名所をめぐる。物語の風景とエリア観光が楽しめる一石二鳥のツアーだ。昼食など込みで2千円。問い合わせは、農協観光鳥取支店 電話0857―26―0602。
三朝館は、三徳川に架かるかじか橋前に立地。風情ある風景と1千坪もの庭園に広がる露天風呂をはじめとする12の湯どころが楽しめる。7月にはリラクゼーションルーム「シエル」がオープン。エステやマッサージで旅の疲れを癒したい。