夏の湯原は癒し天国(3) 蒜山・勝山・新庄―周辺含め滞在地形成
湯原温泉を宿泊拠点とすると、周辺には蒜山高原や勝山、新庄村といったエリアで様々な癒しの観光スポットを周遊できる。滞在型の温泉地として存在感は増すばかりだ。
グルメリゾート・蒜山、まちなみ大賞・勝山
蒜山高原はここ数年、団体型というより個人・グループに対応する施設が充実してきた。またグルメリゾートしての変革に成功しており、高原内ではバラエティー豊かな味覚が味わえる。
なかでも昨年4月にオープンした「ひるぜんワイナリー」は、蒜山山ぶどうワインを扱う新たな施設。ワインの加工や醸造過程の一部などワインの製造工程が見学できる。中四国で唯一、醸造の際に出るぶどうの搾りかすを使ったブランデーの一種「グラッパ」を作れる施設でもあるのだ。
カフェとショップも併設し、500―700円で山ぶどうワインの試飲も。蒜山高原で採れた野菜や手づくりパンも提供しており、テラスから蒜山高原を一望しながらワインを飲み、ゆったりとした時間を味わいたい。
「ひるぜんジャージーランド」は、ジャージー牛の生産で知られる蒜山酪農農業協同組合の直営施設で、ジャージーヨーグルトやソフトクリームなどの乳製品は味わい豊か。がB級グルメとして注目を集める「ひるぜん焼きそば」は、ひるぜんジャージーランドやヒルゼン高原センター、道の駅・風の駅などで。
湯原温泉から西へ足を伸ばすと新庄村。雄大な森林をセラピーロードとして整備し「森林セラピー基地」の稼働を始めている。森林セラピーは、ガイド「森の案内人」とともにコースを散策。旭川源流のせせらぎや小鳥のさえずり、木々の緑などに触れながらの爽快感がたまらない。
勝山・久世エリアでは、店や家を様々なのれんで飾る「勝山の町並み」は2010年に国交省・都市景観大賞の「美しいまちなみ大賞」を受賞。旧勝山藩主が住んでいた「三浦邸」は門前に樹齢400余年の椎の木があることから別名「椎の木御殿」と呼ばれ、庭園から眺める景色は格別、と評価される。
久世にある「旧遷喬尋常小学校」は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」や「火垂るの墓」などの舞台に使われた、明治40年建造の木造校舎。ルネサンス様式の擬洋風建築で、左右対称の白い壁面のデザインが目をひく。内部は二重折り上げの洋風格天井や回遊式階段など細部に工夫が凝らされている。
落合の「普門寺」は花の寺と呼ばれ、周辺で桜、シャクナゲ、アジサイ、紅葉などの花が咲き、年間を通して花に包まれる。岡山県下一の巨木で樹齢1千年の醍醐桜も見どころ。