3地域の3つの春(1) 先端産業と自然の調和/愛知県豊田市
この冬は大寒波で猫も杓子もこたつで丸くなってしまった。しかし春夏に向けての充電期間と考えれば、その蓄えたパワーをはじけさせる「舞台」が必要だ。今回はその舞台として中部地方から愛知県豊田市、静岡県奥浜名湖、長野県大町温泉郷への旅を提案したい。3つの地域が誇る自慢のスポットは暖かな春夏、みなぎる力を有効に使うには魅力十分。今年の干支、兎のごとくジャンプ一番、旅に出かけよう。
愛知県豊田市は自動車産業で知られる工業都市だが、一方で豊かな自然や伝統という観光の魅力も兼ね備えている。
市中心部から車で約30分北東へ向かうと、旧足助町。宿場町の香りを色濃く残す町並みが広がる歴史と伝統のまちだ。
足助の大きな魅力の1つが香嵐渓。秋の紅葉の名所として名高いが、春のカタクリも見逃せない。3月下旬―4月上旬にかけて可憐な花を咲かせ、山の斜面を薄紫色に染める。春夏は様々な山野草が楽しめ、清流・巴川には水遊びをする子どもたちの歓声が響く。
市北東部、岐阜県との県境に位置する旭地区は矢作川を中心に水と緑が溢れ、人の心を癒してくれる空気が流れている。
奥矢作湖は穏やかで豊かな水を湛え、周囲の景観に合わせ季節ごとに表情を変える。なかでも春の桜は圧巻。湖畔一周を彩る桜並木は満開の花を咲かせ、12キロの桜の回廊をドライブで楽しみたい。釣りやキャンプも楽しめる自然のレクリエーションスポットとして多くの人が訪れる。
夏の見どころは、7月最終週の土日曜に市中心部で開かれる「豊田おいでんまつり」。市民によるおどり連や飛び入り参加の踊り手が「おいでん」の曲にあわせ踊りを楽しみ、約1万発の花火でクライマックス。例年約35万人もの人出で賑わう一大イベントだ。
矢作川上流の笹戸温泉は600年以上の歴史を有する県下最古の温泉地。閑静で情緒豊かな雰囲気が流れ、湯治の湯としても知られる。紫翠閣とうふやでは、山々の風景が眺められる大浴場や露天風呂が風情を演出。豆腐をメーンに地元食材を使った会席料理とあわせて地域の魅力をかみしめたい。
日本旬紀行 旅のおすすめサイト
→3地域の3つの春(2) 湖北五山に漂う風情/静岡県奥浜名湖に続く