「坂の上の雲」のまちづくり ドラマ第2部放映で再度脚光、愛媛・松山へ(1)
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第2部の放映が12月5日から始まった。今回は子規の死や日露戦争の開戦など4話が放映される。物語ゆかりの愛媛県松山市では昨年の第1部放映後、まち歩きを中心に様々な観光コースなどを提案。市内や道後温泉の魅力をアピールしており、第2部が始まる今年も誘客活動に注力する考えだ。
第2部は子規の死や日露戦争描く
松山市出身の軍人、秋山好古・真之兄弟や俳人・正岡子規による青春群像劇、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第2部の放映が12月5日に始まった。3年にわたる壮大な物語も転換期。来年のクライマックスへ主人公たちは時代の渦にどう立ち向かうのか。
「坂の上の雲」は司馬遼太郎が描いた長編歴史小説で、明治時代、日露戦争が時代背景。ドラマは11年まで、毎年秋冬に放映される。秋山真之を本木雅弘さん、好古を阿部寛さん、正岡子規を香川照之さん、子規の妹・律を菅野美穂さんが演じる。昨年の第1部は主人公3人の松山から東京への旅立ち、日清戦争、真之の留学が描かれた。
今年の第2部は第6―9回、「日英同盟」「子規、逝く」「日露開戦」「広瀬、死す」の4話。新時代のうねりが日本を巻き込む中、子規の死や物語の核となる日露戦争の開戦など明治の世を奮闘する秋山兄弟の姿が描かれる。放映はNHK総合が12月26日までの毎週日曜、19時30分―21時。BS2は同22時―23時30分。
松山市は放映を機に07年、「坂の上の雲」を軸にしたまちづくり計画を策定。市全体を博物館と見立てた「フィールドミュージアム構想」の中核施設「坂の上の雲ミュージアム」の開業やまち歩きコースの設定など取り組みを進めてきた。
昨年から今年は放映効果で市への来訪者数が大幅増。秋山兄弟生誕地やロケ地の松山城、道後温泉本館などを巡る観光客の姿が多く見られる。物語終盤に向け、一層の盛り上がりが期待される。
松山市に野志新市長 観光振興施策継続へ
松山市長選が11月28日に行われ、野志克仁新市長が誕生した。愛媛県知事に転身した中村時広前市長の後を受け、「坂の上の雲」のまちづくりなど観光振興施策を引き続き展開する。
野志新市長は松山市出身の43歳。市長公約として「一人でも多くの人を笑顔に 全国に誇れる、わがまち松山」をスローガンに7政策を掲げた。
そのうちの「地域の宝を磨き」で観光振興に言及。(1)坂の上の雲のまち効果を継承・発展し平成のベストセラーを目指す(2)三津の朝市、松山総合公園の整備など坂の上の雲サブセンターゾーンの活性化を検討(3)道後温泉、松山城のブランド力を高め、国際文化観光都市として観光客600万人を目指す(4)北条・島しょ部の活性化に努め、風早レトロタウン、愛ランド里島構想の検討―の4項目を重点政策として取り組んでいく。
ドラマ「坂の上の雲」が第2部を迎える中、観光への手腕が注目される。