立山黒部に春到来 富山
長い冬を越え、待ちに待った春が富山・立山黒部にやってきた。立山黒部アルペンルートと黒部峡谷鉄道の全線開通が観光シーズンの幕開けを告げ、新緑の季節にかけて残雪と鮮やかな緑のコントラストが観光客を出迎える。トレッキングやトロッコ電車で雄大な自然に親しみ、宇奈月温泉で疲れをほぐす。心身に癒しを与える立山黒部の旅へ出かけよう。
「雪の大谷」で開幕 立山黒部アルペンルート、４月17日から
富山県立山町と長野県大町市を結ぶ立山黒部アルペンルートは立山黒部の自然を体感できる観光ルート。４月17日に電鉄富山―信濃大町間の全線が開通し、雪深いこの地に春が到来する。
全線が開通する４月17日に始まる「雪の大谷ウォーク」で本格的に観光シーズンが幕開け。今年で17回目を迎える恒例行事で、５月31日まで、立山登山の基点・室堂（標高２４５０メートル）の高さ約20メートル、コース長約５００メートルにおよぶ雪壁「雪の大谷」を無料で散策できる。豪雪地帯である立山ならではの雪の回廊は、迫力、美しさともに圧巻の一言。
初日は９時45分から、室堂ターミナル前中央広場でオープニングセレモニーを開催。４月30日までは富山県自然解説員によるガイドツアーや除雪車「熊太郎」の展示が、５月５日までは立山連峰を一望できるパノラマロードも開放される。
例年来場者は10万人を超え、ゴールデンウイークには多くの人で賑わう。ウォーク期間終了後は、６月１―20日に「雪遊び広場」が開設され、ソリ遊びなどが楽しめる。
アルペンルートはシーズン中、春から初夏は美女平の新緑、夏は立山を水面に映し出す室堂・みくりが池や高山植物、秋は大観峰の紅葉など見どころが豊富。アルペンルートを訪れ、自然美を体感しよう。
新緑をトロッコで 黒部峡谷鉄道、５月１日全線開通
黒部川沿いを走る黒部峡谷鉄道は、４月18日に宇奈月駅から猫又駅まで、29日に鐘釣駅まで、そして５月１日には欅平駅までの全線が開通する。本格的な春の訪れを告げるように、新緑の中を「黒鉄」トロッコ電車が走り出す。
今年も運転期間中、様々なイベントが開かれ、観光シーズンを盛り上げる。春は宇奈月駅で、５月５日に「こどもフェスタ」と題して懐かしい「ポン菓子」を、22、23日に「三色餅つき祭」が開かれ、ヨモギやキビなどの餅を振る舞う。
また、宇奈月の「セレネ美術館」を訪ねるツアーも設定。美術館学芸員の解説で、黒部を描いた日本画家たちの足跡を追う。参加料は入館料と宇奈月駅―欅平駅往復乗車券、弁当などがつき１人４５００円。５月28、29日、６月11、12、27、28日、７月11、12日に実施する。欅平駅や黒薙駅周辺を歩くトレッキングツアーも６月18、19日、７月２、３日に開かれる。料金は４千円。
夏は７月１―７日に宇奈月駅に七夕飾りを設置。７月23、30日、８月６日は小学生が駅長を務める「チビッコ駅長の日」、８月はお盆期間などを除き機関車検修庫見学会を開く。８月２、16日には黒部峡谷を自然観察する「夏休み宿題応援ツアー」も。
秋は９月の「シルバー駅長の日」や10月の「鉄道の日」、「黒部峡谷きのこ鍋祭」のほか、美術館ツアーとトレッキングツアーの秋版など盛りだくさん。11月28―30日は、シーズン終了に感謝を込めて乗車客全員に甘酒を振る舞う。
イベントやツアーの問い合わせは、黒部峡谷鉄道 電話０７６５―62―１８００。
晩夏を彩る越中おわら宇奈月版 宇奈月温泉
立山黒部観光の宿泊拠点は宇奈月温泉。富山県を代表する温泉地は黒部峡谷の自然に囲まれ、春から夏にかけて木々の鮮やかな緑が目に飛び込み、温泉情緒との調和が生む風情は宿泊客の心を癒す。
富山・宇奈月の風土を感じるには、晩夏の夜を彩る「越中おわら宇奈月―峡谷の響き 郷の舞」がいいだろう。富山県を代表する祭り「おわら風の盆」の宇奈月版で、今年は８月25―31日に開かれる。
胡弓や三味線が奏でる越中おわら節に乗り、踊り手がおわら踊りを繰り広げる。踊り手が作り出す哀切感漂う厳かなムードは独特。輪になって踊る「輪踊り」、踊りながら練り歩く「街流し」が行われ、宇奈月はおわら一色に染まる。輪踊りの際は練習会も開かれ、誰でも踊りに参加できるので伝統的な郷土の文化を体で感じよう。
輪踊りの前には「魚津せり込み蝶六」や「宇奈月獅子舞」、「しばんば踊り」など郷土芸能を日替わりで披露される。
また、９月10―16日にも「仲秋の部」としておわら踊りが行われる。
