花彩る春 長野・南木曽
長野県南西部に位置する南木曽(なぎそ)町は、信州の岐阜県側玄関口。町の中央を木曽川が山の間を縫うように流れる自然豊かな谷あいの里は、中山道の宿場町を有する歴史の町でもある。地勢上、春の訪れは遅く、その到来は町の天然記念物でもあるミツバツツジが鮮やかな花を咲かせることで告げてくれる。さらに桜、花桃が山に色を付けると春本番。花の彩りが南木曽に与える春の活力を感じたい。
今年の「お花見の集い」は夫婦桜1千本記念 ホテル木曽路で4月29日
南木曽温泉のホテル木曽路では4月29日、春恒例のイベント「お花見の集い」が開かれる。
同イベントは今年で11回目。敷地内には地域住民らが植えた2千本以上をはじめ多くの桜の木があり、満開の桜を食事とともに楽しんでもらう。今年は4月10日から5月5日ごろに見ごろを迎えるといい、イベントでは鮮やかな桜の開花が期待される。
また、これまで全国の夫婦に呼びかけて植えてきた桜が昨年1千本に達したことを記念して、「1千本記念桜奉祝者名板除幕式」も行われる。"夫婦桜"は、愛知県に事務局を置く「夫婦で桜を植える会」が2000年から始めたもので、夫婦や家族などが結婚記念や出産、鎮魂など桜に思いを託し、同ホテルの蘭(あららぎ)苑に植樹してきた。
ホテル木曽路は創業以来、緑化活動に取り組んできた。特に桜は豊富で、ソメイヨシノや陽光、寒桃桜のほか、敬宮愛子様の誕生を記念した桜などが見ごろを迎えるころには、多くの花見客で賑わう。
イベントの開催時間は10―15時。参加費は大人1人3千円、子ども2千円で、昼食のバイキングとお花見定食、館内の入浴券、苑内チケット1千円分がつく。申し込み締切は4月10日。
前日の28日の夜には前夜祭・交流会も開催。同ホテルでは宿泊して交流会への参加も呼びかけている。交流会とイベント両方に参加する場合の参加費は5千円。
問い合わせは、電話0264―58―1126。
4月9―18日はミツバツツジ祭り 天白公園が一面ピンク色に
南木曽町・木曽川畔の天白公園では4月9―18日、「なぎそミツバツツジ祭り」が開かれる。春の訪れが遅い木曽谷に、色鮮やかな花々で春の訪れを告げる。
天白公園の高台には、6種類約400株のミツバツツジの大群落があり、この時期になると一斉に花を咲かせ、一面をピンク色に染め上げる。その光景は、まだ枯野が広がる木曽谷においては別世界。町のシンボルでもある国指定重要文化財の木橋吊橋「桃介橋」を渡り、公園で春を愛でたい。
期間中は、ツツジや花桃の苗、地元農産物などを販売するほか、茶店も出店される。
公園内には、電力王と称され木曽川の開発に尽力した福沢桃介が、日本の女優第一号とされる川上貞奴と暮らした別荘を復元した「福沢桃介記念館」、木曽の山仕事の道具などを展示した「山の歴史館」も。祭りと合わせて地域文化に触れることができる。
駐車場はバス25台、普通車40台を収容可能。駐車料金は、ミツバツツジを守る環境整備協力金として大型バス1台1500円、普通車300円。
中山道を歩く 妻籠宿に歴史の香り
南木曽町は江戸時代に定められた五街道の1つ、中山道が走る。現在もその歴史の香りを色濃く留めており、江戸に京にと往来した旅人に思いを馳せてみたい。
中でも「妻籠宿」は町を代表する観光スポット。中山道の42番目の宿場として整備されたもので、明治以降は衰退していたが、近年の町並み保存事業により復活。全長約500メートルの町並みには江戸時代の家屋などが立ち並び、江戸期の宿場町の情景が眼前に広がる。
宿場内には、官報掲示板である高札場や、関所であった口留番所跡など当時の宿場の機能跡が残る。江戸時代の間取り図を忠実に復元し1995年に建てられた本陣、島崎藤村ゆかりの脇本陣奥谷などは有料で見学できる。
「三留野宿」も妻籠宿と並んで栄えた宿場町。明治の大火で大半が焼失したが、本陣跡には枝垂れ梅の古木や、わずかに残っている出梁造りの家などに名残りを留めている。