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冬こそ北近畿 兵庫但馬・京都丹後

09/11/25

寒い寒いと言いながら、冬ならではの魅力が旅人をあえて北へ向かわせる。近畿北部、兵庫県但馬地方では城崎温泉の温泉情緒が冬にぴったりとマッチ。旬の松葉ガニで温泉街は熱気を帯び、温泉とあわせて身も心も温まる。小京都・出石やコウノトリの郷・豊岡を訪れ、足を伸ばして京都府丹後で「間人ガニ」を味わうプランも面白い。叙情感とカニの活気のコントラスト。冬を存分に楽しむ旅人の姿が目に浮かぶ。

城崎温泉の冬の風情 松葉ガニも魅力

城崎温泉の冬は、情緒豊かな温泉街、定番の湯めぐりといった冬のイメージと調和するまちの魅力に旬の松葉ガニが加わり、ひときわ輝きを放つ。但馬観光の拠点として、小雪ちらつく温泉街をそぞろ歩きたい。

城崎と言えばやはり外湯めぐり。7軒の外湯があり、浴衣姿で繰り出す宿泊客の姿が目を引く。城崎では浴衣と下駄が正装と言われ、各旅館では色とりどりの浴衣を用意し、昔ながらの温泉情緒を演出している。

まちの中心を流れる大谿川沿いには柳が揺れ、叙情感が漂う。開湯以来1400年の歴史が育んだ風情は、志賀直哉をはじめとする文豪たちにも愛された。

また、冬の味覚は、「かに王国」を宣言しているように松葉ガニ一色。近隣の津居山港に水揚げされる青いタグの「津居山ガニ」が目玉で、旅館や食事処には新鮮なカニ目当ての観光客が詰めかけ、活気に溢れる。

城崎観光を楽しむには、温泉街一帯で使えるクーポンブック「ゆかたとかにの王国パスポート」を活用したい。旅館、物産店など協賛店で提示すれば様々なサービスが受けられる。旅館では酒またはジュース1本が付き、物産店と魚店は1千円以上、酒屋は2千円以上の買い物で記念品をプレゼントするなど特典を設定している。1冊200円で、有効期間は1年。城崎文芸館で購入できる。

コウノトリのまち・豊岡 出石では皿そば

兵庫県豊岡市は、国の特別天然記念物コウノトリの保護・増殖に力を注いでいる。コウノトリが羽ばたく姿を見て、人と自然が共生できる環境を考えてみたい。

野生のコウノトリは昭和期、自然環境の悪化から激減。日本最後の生息地だった同市は1965年に人工飼育を開始し、地域一体で増殖に努めてきた。コウノトリが生きられる環境づくりに重点を置き、今では生息数が100羽を超える。

県立コウノトリの郷公園は、今年で開園10周年。185ヘクタールの敷地内でコウノトリの飼育、研究が行われている。公開ゲージでは、コウノトリが飛び交う光景が眺められ、その雄大な姿は自然の素晴らしさを体感させてくれるだろう。

また、豊岡市出石町は、室町―江戸期の城下町の風情を残し、但馬の小京都と呼ばれる。但馬路の立ち寄りスポットとして、観光客で賑わう。

名物として知られるのが「出石皿そば」。50軒以上が軒を連ね、但馬観光の昼食として定番となっている。江戸時代に信州から伝わったとされ、挽きたて・打ちたて・ゆがきたての「三たて」と呼ばれる伝統の製法で出されるそばは、手皿に盛る出石独特のスタイルで味わう。

通常1人前5皿だが、追加して食べた皿を積み重ね、約20皿、箸の高さまで達することが"粋"とされる。各店では20皿以上食べると通行手形が贈られる。なかには50皿以上を食べる強者もおり、一度チャレンジしてみては。

そばを乗せる皿も実は出石の名産。出石焼は、透き通るような白さが美しい磁器で、国の伝統的工芸品にも指定されている。地元の窯元で焼かれており、出石土産におすすめだ。

究極の「間人ガニ」

日本海の冬といえば松葉ガニ。なかでもカニ通の間で、なかなか口に入らない高級ガニとして名高いのが、京丹後市・間人港に水揚げされる「間人(たいざ)ガニ」だ。身が詰まり、独特の甘い肉質は究極の食材とも呼ばれる。

美味しさの秘訣は、港と漁場の近さにある。沖合いで宿泊して連続操業するのではなく、小型船で漁を行うとその日のうちに帰港、水揚げするため、鮮度が抜群というわけ。ただ、天候に左右されやすく、大量に水揚げもできないことから希少価値を生んでいる。新鮮で貴重な間人ガニを食べるには、丹後半島へ向かうほかない。

間人では良質のオスガニに緑色のタグをつけてブランド認定。船上で漁師が手作業でつけたもので、その品質は折り紙つきだ。漁は11月6日に解禁され、旬の時期を迎えた。3月ごろまで、地元旅館ホテルや民宿などでは間人ガニのフルコースを提供しており、カニすきや焼き、刺身などで新鮮な旨味を堪能したい。

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