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健康志向に「麦とろごはん」 全国10温泉地で6月イベント

09/06/10

温泉旅館で麦とろごはん―。6月13―21日の約1週間、全国10カ所の温泉で「麦とろごはんウィーク」が展開される。宿泊先の旅館で、朝食もしくは夕食に麦とろごはんを食べてもらおうというもので、2004年に長野県山ノ内町の渋温泉で始まった。食と健康への関心が高まる中、宿泊客、旅館ホテル双方に好評で、参加温泉地も昨年より2カ所増えての開催。期間中、合計で12万食の麦とろごはんが提供される見通しだ。

旅館の朝・夕食に提供 端境期の集約に一役

麦とろイベントは6月16日の「麦とろの日」(日本記念日協会認定)を挟んで、毎年、約1週間開かれる。

04年に長野県の渋温泉で始まり、その後、05年に福島県飯坂温泉、06年に石川県山代温泉と長野県白骨温泉、07年に北海道登別温泉、山梨県湯村温泉、福井県あわら温泉、08年に宮崎県青島温泉が参加。今年は新たに長崎県雲仙温泉と山形県かみのやま温泉が加わり、全国10の温泉で麦とろウィークが行われる。

旅館組合単位で取り組む温泉がほとんどで、イベント期間中は温泉地のすべての旅館もしくはほとんどの旅館で朝食か夕食に麦とろごはんが出される。

消費者の健康志向や食への関心の高まりから、麦とろごはんは宿泊客にも喜ばれ、また、温泉地にとってはGW後から夏休み前の集客の端境期に打てるイベントとしてのメリットもあり、参加温泉地が増えている。

もう1つ、年々参加温泉地が増えている大きな理由に、イベントを発案した穀物メーカーの「はくばく」(山梨県南巨摩郡増穂町)の支援がある。大麦生産で国内7割のシェアを持つ同社が、麦とろ普及活動の一環として取り組んでいることもあり、材料となる大麦と山芋を、イベントで使用する全食分無料で提供しているのだ。

近年、消費者の健康への関心の高まりは、食の嗜好にも変化をもたらした。ごはんといえば白米だけだった食生活から、玄米や雑穀類を健康増進の観点から主食に加える消費者が増えている。体にいいものを積極的に採ろうという考え方が広まっている。

こうした変化の中、温泉と麦とろごはんの組み合わせは、イベントを知らずに訪れた旅行者にも好評だ。ビタミンBやミネラル、食物繊維が豊富に含まれる大麦と、胃腸の消化を助け栄養の吸収率をアップする長芋を組み合わせた麦とろごはん。夏バテ防止やメタボ対策にも効果的な健康料理といえる。

旅館の中には、イベント参加をきっかけに、1年を通じて麦とろを出し、健康旅館を打ち出しているところもある。

かみのやま、雲仙が新参加 はくばくが全食提供

麦とろごはんイベントに今年から参加する山形県かみのやま温泉と長崎県雲仙温泉で、このほど旅館経営者や料理長を対象にしたイベント説明会と試食会が開かれた。

麦とろごはんという同一のメニューを提供しながらも、地域ならではの食を求める旅行者の満足を得ようと、郷土料理との組み合わせや、各旅館で麦とろにトッピングできる一品を加えることなど意見を交換した。

かみのやま温泉には料理研究家で、麦とろご当地メニューの開発にも取り組んでいる枝元なほみさんも参加。おいしい麦とろごはんの提供の仕方などについて説明した。

また、雲仙温泉では地元マスコミも招き、キックオフイベントとして試食会を行った。

雲仙福田屋の福田努さんは「雲仙調理師会にも全面的な協力をいただき、健康と地産地消を合わせたイベントにしたいと思っています。雲仙ブリや雲仙スーパーポーク、雲仙野菜と合わせて提供するつもりです。地域が集まるきっかけにもなって感謝しています」と、地域活性化の起爆剤としても期待を示している。

一方、イベントに最初から参加している長野県渋温泉では、この春からはくばくのヒット商品である「十六穀米」をアレンジし、渋温泉にある9つの外湯にちなんだオリジナル商品、「九穀米」を開発し、土産や料理として提供している。麦とろイベントをきっかけに「健康温泉渋温泉」のアピールを強めている。

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