高原で過ごす涼やかな夏 長野―山梨・八ヶ岳山麓
長野県と山梨県境にそびえる八ヶ岳連峰。雄大な山々と山麓の広大な高原のコントラストが見る者の心を捕らえて離さない。山麓は長野県側に蓼科高原や白樺湖、諏訪湖、山梨県側に清里高原。夏場は避暑地として人気を集める。トレッキングにドライブにと様々な楽しみ方で、涼やかな夏を楽しみたい。
白樺湖や清里 トレッキングで自然満喫
八ヶ岳連峰西側には、蓼科高原を中心に緑豊かな高原が広がり、白樺湖や季節の花々と相まって美しい自然景観を形成している。夏場は避暑地として、首都圏を中心に多くの観光客が訪れる人気のリゾートエリアだ。
標高900―1800メートルに広がる蓼科高原の北端に位置する白樺湖。茅野方面からビーナスラインで北へ走ると標高約1400メートル、白樺の林に囲まれた輝く湖面が見えてくる。レンタサイクルも充実しており、夏はサイクリングで風を浴びながらの自然を満喫してはどうだろう。白樺湖北東、蓼科山麓には白樺高原が広がり、蓼科牧場や女神湖など見どころが多い。
蓼科高原は、夏のニッコウキスゲなど四季折々の花々、野鳥のさえずりといった自然の魅力が詰まっている。八ヶ岳登山のベースとして多くの登山客が訪れるほか、近くには奥蓼科温泉郷など温泉地も点在。心身ともに癒してくれる要素が揃っている。
連峰山麓南端、富士見高原の夏場の見どころは富士見高原スキー場に設けた「ゆりの里」。500万輪のユリの花が咲き誇り、花の香りが一面に立ち込める。今年は7月11日にオープンし、8月下旬まで。
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八ヶ岳連峰南麓に広がるのは清里高原。緑鮮やかな広大な高原は、八ヶ岳のほか富士山、南アルプスなどに囲まれ、雄大な自然空間とのどかな空気に包まれながら穏やかな時間が過ごせる。
清里を訪れたら、ぜひ楽しみたいのがトレッキング。高原の花々や野草、山岳の景観、バードウォッチングなど見どころは豊富だ。四季折々の自然の魅力に間近で触れるには実際に歩いてみるのが一番の近道だろう。
川俣川を歩けば八ヶ岳の渓谷が堪能できる。渓流沿いを進めば、「吐竜の滝」やブナの天然林など、自然が織り成す造形美に息をのむ。涼やかな空気の中、林間のトレイルを楽しもう。
美し森から八ヶ岳山麓を横断して天女山へ向かうコースもおすすめ。清里高原を一望でき、6月のレンゲツツジなど野草が楽しめる。コース途中には県営八ヶ岳牧場があり、大自然の中、のんびりと過ごす牛とふれあうのもいい。
また、高原東側の飯盛山では登山が。山頂から八ヶ岳連峰、富士山などが一望できる。比較的短時間で登れ、登山入門者にも適している。
7年に一度の奇祭・諏訪「御柱祭」 来年4―5月
諏訪湖周辺では、7年に一度の奇祭「御柱祭」が2010年春に開かれる。大木が山の斜面を滑り降りる光景は他に類を見ない迫力。天下の大祭のひとつに数えられる勇壮な祭りを、この機会に目に焼き付けたい。
御柱祭は、寅と申の年に行われる諏訪大社最大の行事で、長野県の無形民俗文化財に指定されている。
祭りは、山から切り出した長さ20メートル、太さ直径3メートル、重さ10トン以上もの御柱と呼ばれる大木16本を、諏訪市上社本宮や下諏訪町の下社秋宮など4カ所の宮に建てて神木とするもの。
最大の山場は、4月の「山出し」。氏子を乗せ、傾斜約30度の木落し坂から御柱を落とす「木落し」は、豪快そのもの。その後、まだ雪解け水が残る宮川を幅40メートルにわたって越える「川越し」につないでいく。御柱は1カ月間安置され、5月の「里曳き」で各宮まで曳かれ、柱を建てる建御柱が行われる。
来年は山出しが上社4月2―4日、下社4月9―11日、里曳きが上社5月2―4日、下社5月8―10日。開催時には「人を見たけりゃ諏訪御柱」と言われるほど見物客が詰めかけ、諏訪地域は一番の賑わいをみせる。