一風変わったベッドタウン 兵庫・三田
兵庫県と県内各市町、JRグループ6社が共同で行う兵庫デスティネーションキャンペーン(DC)が4月―6月、兵庫全県で展開される。今回は県南東部に位置する三田市観光をピックアップ。自然の中で楽しむシイタケ狩りと三田肉のバーベキュー、日本人が初めて醸造したビールの復元品の試飲会、日本最大級の恐竜の化石発掘の報告など、一風変わった魅力が豊富な三田市。DCを機に訪れてみたい。
日本初醸造のビールを試飲 白洲次郎の墓、恐竜の化石も
三田市は近年、大阪や神戸のベッドタウンとして急速に発展し、住宅街と農村の二面性を持つ。歴史や自然のほか、ビールや恐竜など一味変わったキーワードが魅力として備わる。
DC期間の特別イベントとして注目したいのが「川本幸民のビール」試飲会だ。川本幸民は江戸時代の蘭学者で、現在の三田市にあたる三田藩の出身。「日本化学の祖」とも言われる人物で、日本で初めてビールを醸造したことで知られている。幸民のおかげで現代人は美味しい日本製ビールにありつけた、とは言い過ぎだろうか。とにかく、ビール党が感謝すべき人物であることには違いない。
試飲会は、三田市からほど近い神戸市北区のキリンビアパーク神戸で、4―6月の水木金土曜に実施。幸民が醸造した日本初のビールを当時の資料をもとに復元、参加者はこれを味わうことができる。甘味と香りに特徴があるビールだという。1人につき100ミリリットルの試飲だが、日本のビールのルーツをたどるにはまたとない機会だ。
所要時間は復元についての説明を含めて約80分。1日2回実施する。予約が必要で、料金は無料。
問い合わせは、キリンビアパーク神戸 電話078―986―8001。
6月6日には「川本幸民まつり」と題したイベントが開かれる。小寺公園などを会場に、ビールまつりや歴史ウォークなどが催され、幸民の偉業を讃える。
恐竜も三田の大きなテーマのひとつ。人と自然の博物館の「ひとはく恐竜ラボ」では、2006年に近隣の丹波市で発掘された日本最大級の恐竜"丹波竜"の化石のクリーニング作業を行っており、研究員による作業と展示された化石が間近で見られる。
丹波竜は現在も発掘調査が行われており、DC期間中の4月25日―5月31日、特別展示としてこれまで3年間の発掘調査の成果を展示する。5月5日は、主任研究員の三枝春生さんによる恐竜化石第3次発掘報告会も行われるなど、恐竜に親しめるイベントが続く。
また、清涼山心月院は三田藩主九鬼氏の菩提寺。歴代藩主やその家族のほか、戦後復興期に政財界で活躍した白洲次郎と正子夫妻の墓所がある。先人が眠るこの地で、三田の歴史に思いを馳せる。
シイタケ狩りやバーベキュー しい茸ランドかさや
三田市中西部の山あい、JR相野駅近くの「しい茸ランドかさや」は、自然溢れるレジャー施設。シイタケ狩りとバーベキュー、各種収穫体験などが楽しめ、1年を通して自然と味覚を堪能できる。
同施設のメーンである、シイタケ狩りは、季節を問わず体験可能。手のひらサイズの大きさで肉厚のシイタケを収穫したら、その場でバーベキューを楽しもう。
シイタケは採りたてが一番美味しく、味わい、香りが豊か。清々しい木立の中で地元産の三田肉(三田牛)とともに味わうバーベキューは格別だ。
シイタケ狩りとバーベキューは6コースあり、3150円から。3675円のコースから三田肉が付く。各コースとも野菜、シイタケごはんがセットになっており、スペシャルコース(6825円)は特上の三田肉が味わえる。バーベキューのみは、シイタケが付き2310円から。
850人まで収容できる屋内施設も完備しており、雨天時も気にせず食事が楽しめる。
施設内では陶芸体験も。丹波・三田地方は立杭焼発祥の地と言われており、古くからの窯元が点在し陶芸が根付く。土ひねりからオリジナルの器を作れば、窯元で焼き上げ、約1カ月で自宅に送られる。制作時間は約1時間。料金は1500円で、絵付けのみは700円。
また、6月―7月中旬は「あじさい園」のアジサイが花を咲かせ、9月―11月上旬はイモ掘り、10月は黒豆枝豆狩りと松茸料理など、1年中自然の恵みに触れ合える。