桜とツツジが競艶 長野・南木曽
長野県の南西部に位置する南木曽(なぎそ)町。岐阜県に接し、名古屋から中央本線で行くと信州の入口に当たる。濃尾平野の中を大河のごとく流れていた木曽川が急に狭まり、両岸にそびえる山の間を縫うように様相が変わる。谷あいの春の訪れは遅い。そのぶん、山の花たちは待ち焦がれていたように一斉に咲き始める。町の天然記念物でもあるミツバツツジ、桜、山桃がモノトーンだった山に彩を与える。木曽路の春はもうすぐだ。
ミツバツツジ6種類400株の群落 4月10―19日に祭り
なぎそミツバツツジ祭りは4月10―19日の10日間、木曽川畔の天白公園で開催される。
町のシンボルでもある国指定重要文化財の木橋吊橋「桃介橋」を渡った天白公園には、6種類約400株のミツバツツジの大群落があり、一面にピンク色の花が咲く。春の訪れが遅い木曽谷は、まだ枯野の世界。そこだけが別世界のように鮮やかに映えている。
祭りの期間中は、公園内に茶店が出るほか、地元農産物やツツジ苗が販売される。
また、電力王と称され木曽川の開発に尽力した福沢桃介が、我が国の女優第一号と言われる川上貞奴と暮らした別荘を復元した「福沢桃介記念館」、木曽の山仕事の道具などを展示した「山の歴史館」もある。祭りの期間は両館とも無休で開館している。
祭りは9―16時に行われる。駐車場はバス25台、普通車40台を収容できる。駐車料金は、ミツバツツジを守る環境整備協力金として大型バス1台1500円、普通車300円。
"夫婦桜"が1千本 ホテル木曽路、4月29日に記念行事
南木曽温泉のホテル木曽路で4月29日、第10回「献木植樹祭とお花見の集い」が開かれる。
全国の夫婦に呼びかけて、これまで毎年100本ずつ植えてきた桜が今年1000本に達することを記念する。今年は50本を植樹する予定で、愛知県に事務局を置く「夫婦で桜を植える会」では現在、植樹祭に参加する夫婦を募っている。
ホテル木曽路は、鉱石採掘跡地を再活用し開業したホテルで、以来、緑化活動に取り組んできた。昨年秋には、長年の取り組みに対して県知事から表彰も受けている。夫婦で桜を植える取り組みは2000年から始まった。第3回植樹祭では敬宮愛子様の「御誕生記念桜」を賛同者の奉祝金で植樹した。
敷地内では別に、地域住民らで植えた桜も2300本あまりあり、4月15日から5月10日にかけて絶好の花見の場所になる。
植樹祭の参加費は、温泉入浴や昼食などが付き1人5000円。夫婦で植樹する場合は、献木代金として1本3万5000円。幹回り10センチ、高さ3メートルほどの5年生の山桜を植える。また1000本の記念桜の植樹に伴い、夫婦の名前を銘板に刻む。200組を募集し、1つ1000円。
問い合わせは、電話 0264―58―1126。
南木曽の見どころ 妻籠宿
南木曽町を代表する観光スポットと言えば、やはり「妻籠宿」。全長約500メートルの町並みは、往来が盛んだった江戸期と変わらない姿をとどめている。
妻籠宿は、江戸幕府が慶長6年(1601年)に定めた五街道の1つ、中山道の42番目の宿場として整備された。明治以降は衰退していたが、1973年から始まった町並み保存事業により、宿場の景観がよみがえった。近年は、日本らしさを求める外国人の姿も目立っている。
宿場内には、江戸時代の間取り図を忠実に復元し1995年に建てられた本陣、島崎藤村ゆかりの脇本陣奥谷などは有料で見学できる。和紙やひのき笠などの工芸品づくりを実演している施設もある。
毎年5月8日は「妻籠・花まつり」として、各家の玄関先に山の花が飾られる。また5月24日には、宿場内をランナーが駆け抜けるマラソン大会も開く。