観光業界専門紙「トラベルニュースat」おすすめ国内魅力再発見の旅

土地に根付いた建築美

「黄金の国」の入口として

マルコポーロが「東方見聞録」に「黄金の国ジパング」と紹介してから、日本を訪れる外国人が、まず目にしたのは、長崎だっただろう。

昔から、海外との窓口であった長崎。遥か450年前の港には、外国船が航行し、街には多くの教会が立ち並び、ラテン語やオルガンを学ぶ教育機関もあったそうだ。それはまさに、「小ローマ」と呼ばれるほど発展していたのである。

そんな異国の雰囲気が残る長崎の街を歩くと、いたるところで「○○跡地」「わが国○○発祥の碑」を見かける。こんなものまでと思うのが、オランダ坂を登るところにある「わが国ボーリング発祥の地」の碑だ。チリンチリンアイスを買い求める際は、ぜひ気にして見てほしい。キリスト教布教や、南蛮貿易を通じて長崎に伝わったものは医学、印刷技術、産業など、数え切れないほど私たちの生活に溶け込んだ。

幕末から明治にかけて、日本を変えたいと奔走した志士たちの行動は、日本の歴史を変え、近代産業への礎となった。ここから日本は大きく飛躍し、高度成長を成し遂げる。長崎造船所の史料館では、その歴史が写真や資料を通して見ることができる。

輝かしい歴史の裏には、バテレン追放の悲しい歴史も忘れてはならない。江戸から明治まで続いた迫害の歴史。教会は壊され、踏み絵を踏まされ、何人もの宣教師や司祭、信徒が迫害を受け、殉職者を出した。

それでも、長崎には今も多くの教会が建つ。国宝の大浦天主堂は言うまでもなく、関連遺産にリスト入りしている外海や平戸の教会も訪ねてほしい。ヨーロッパのような華美な装飾ではなく、その土地に根付いた建築様式は慎ましさを感じる。長い時を経て、親から子へと伝えられた祈りは、現在の日常の姿だ。

南蛮人との交流の歴史。キリスト教伝来と迫害の歴史。その中で花開いた南蛮文化は、長崎の地であるからこそ、未来へ残さなければならない。

(九観連大阪事務所 淵野祐美)

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