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村上のうまさは鮭にあり 鮭塩引き街道・伝統漁見学・イヨボヤ会館

11月11日は「鮭の日」

新潟県最北部、山形県と接する村上市は、城下町と海浜温泉リゾートの2つの顔を持ち、年間を通じて多くの観光客が訪れる。

この村上で「うまさぎっしり新潟」を探せば、鮭料理は外せない。村上では、平安の昔から鮭が特産として知られ、世界に誇る鮭文化を築いてきた。世界で初めて鮭の回帰性が発見され、世界初の自然ふ化増殖、日本で初めての人工孵化が行われたのも、村上だ。市内を流れる三面川や大川では10月下旬から12月上旬にかけて鮭漁が行われる。

こうした鮭にまつわる村上の地域性を観光客誘致につなげようと、この秋から始まったのが「越後村上鮭ものがたり」キャンペーン。鮭の字が魚偏に十一十一と読めることから11月11日を「鮭の日」に制定し、市内の神社で鮭魂祭を行うほか、従来から行ってきた三面川での伝統漁法の見学や「越後鮭塩引き街道」など秋から初冬にかけてのイベントを「越後村上鮭ものがたり」としてPRに力を入れている。

越後鮭塩引き街道

村上市の中心街には、間口が狭く50―70メートルと驚くほど長い奥行きを持つ町屋づくりの商家群や、黒塀の旧町人町、石垣が続く旧武家町が残る。こうした城下町の面影を色濃く残す街で12月1日から20日まで行われるのが、冬の風物詩「越後村上鮭塩引き街道」。村上とは切っても切れない冬の食、鮭を塩引きして軒下に吊るした家並みが連なる風景を街道に見立てたもので、まさにこの地方独特のものだ。

越後鮭塩引き街道

旅館も冬の風物詩「塩引き鮭」を
吊るし、雰囲気を出す

12月10日には寝屋漁港を会場に塩引き鮭1千本がずらりと並ぶ「イヨボヤまつり」が開かれる。日本海で獲れた鮭の塩引きや水産加工品を格安で販売。年越しの準備も兼ねて、毎年、県内外から多く訪れる。

鮭伝統漁法の見学

10月下旬から12月にかえて三面川と大川で鮭の伝統漁法が見学できる。三面川では、遡上してくる鮭の一括採補と「居繰り網漁」が見られる。

一括採補は鮭の増殖を目的にしたもので、川幅いっぱいに「ウライ」と呼ばれる柵を設け、2カ所だけ開いている落し柵と呼ばれる密柵で捕らえる。鮭からは採卵し、人工ふ化増殖を行っている。

居繰り網漁は、ウライより下流で行われる伝統漁法。2人ずつ乗った2艘の船が、川下に向かって八の字で下りながら、遡上してくる鮭を網で捕らえる。

大川では「コド漁」が見られる。川底に杭を打ち、竹や杉の皮、ヨシ、柳などを取り付けてコドと呼ばれる箱状にし、そこで休憩したり隠れたりする鮭を上からのぞきこみ、鉤で引っかけて捕まえる。鮭の習性を利用した、全国でもここにしかない漁法だそうだ。最盛期には大川の河口がコドで埋め尽くされる。

イヨボヤ会館

村上の人は鮭のことを「イヨボヤ」と呼ぶ。当地では、イヨもボヤも広く魚を指す言葉で、魚といえば鮭のことを指した地域性が伝わってくる。それだけ身近な鮭。鮭の料理はなんと100種類を超えるという。

昆布巻き、鮭びたし、三面鍋、氷頭なますから、鮭の心臓の煮つけ「どんびこ煮」ときりがない。ちなみに干した塩引き鮭は、乾燥2週間目くらいの焼きたてに、大根おろしを添えて食べるのが一番とのこと。市内の割烹や食事処でさまざまな鮭料理を楽しめる。

また、市内のサーモンパークには鮭の博物館「イヨボヤ会館」がある。鮭の生態系や伝統漁法を展示しているほか、地下の三面川鮭観察自然館では、遡上する鮭の群れが見学できる。

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